トランプ氏の教皇批判、メローニ伊首相は「容認できない」と盟友を非難

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アメリカのドナルド・トランプ大統領が、キリスト教カトリック教会トップの教皇レオ14世を「犯罪に弱腰」などと非難した。米大統領が教皇に激しい言葉を向けるのは異例。これに対し、イタリアのジョルジャ・メローニ首相は「容認できない」とトランプ氏を批判している。
トランプ氏は12日、自分のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に長文を投稿。その中で、教皇を「犯罪に弱腰で、外交政策もひどい」と非難した。
また、教皇は「しっかりすべきだ」とし、「核兵器に対して弱腰だ」と批判した。これはイランが核保有国を目指していることへの言及とみられる。アメリカとイスラエルは、イランのそうした姿勢を、今回の戦争を始めた理由の一つに挙げている。
トランプ氏はさらに、レオ14世が教皇に選出されたことについて、「彼がアメリカ人で、ドナルド・J・トランプ大統領に対応するにはそれが最善の方法だと思われたからだ」と主張。「もし私がホワイトハウスにいなかったら、レオはヴァチカンにいなかっただろう」とした。

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こうした発信を受け、メローニ首相は13日に声明を発表。トランプ氏の言葉は容認できないとしたうえで、「教皇はカトリック教会の長であり、平和を呼びかけ、あらゆる形態の戦争を非難するのは当然かつ正常なことだ」と指摘した。
メローニ氏が率いる右派連立政権に加わっているポピュリスト政党「同盟」のマッテオ・サルヴィーニ党首も、「教皇を攻撃することは(中略)有益でないし、賢いことでもないように思える」とした。
カトリック信者のメローニ氏はトランプ氏と親しく、盟友関係にある。トランプ氏の教皇非難について、これまでは大統領をとがめることに消極的だった。
イタリアの野党は、メローニ氏が素早く発言しなかったと批判している。
トランプ氏は13日、教皇を非難した投稿について記者団から説明を求められると、「彼はあまり良い仕事をしていないと思う。たぶん、犯罪が好きなんだろう」と述べた。
また、「彼は非常にリベラルな人だ。犯罪の阻止を重視しない人間だ。核兵器を手に入れて世界を吹き飛ばそうとしている国を、私たちがもてあそぶべきだとは思わない男だ」とした。
さらに、「(自分は教皇の)大ファンではない」と発言。教皇への批判をさらに強めるとともに、「とても弱い」教皇に謝罪するつもりはないと述べた。
「トランプ政権を恐れていない」と教皇
トランプ氏の発言に対し、教皇は13日、トランプ氏との議論は望んでおらず、平和の推進を続けていくと、アルジェリアへ向かう航空機内で記者団に話した。
教皇は「私はトランプ政権を恐れてはいないし、福音のメッセージを大声で語ることが、私がここにいる目的で、教会がここにいる目的だと信じているからだ」とした。
教皇はさらに、「私は(トランプ氏と)議論するつもりはない」と発言。「今日の世界ではあまりにも多くの人々が苦しんでいる。あまりにも多くの罪のない人々が殺されている。誰かが立ち上がり、『もっと良い方法がある』と言わなくてはならないと思う」と述べた。
一般的に、教皇が世界の指導者の発言に直接言及するのは珍しい。
教皇はアメリカとイスラエルによるイランとの戦争を断固として批判している。イラン文明を滅ぼすというトランプ氏の脅しについては「容認できない」と厳しく非難。同氏に対し、紛争終結の「出口」を見つけるよう求めている。
教皇はその後の演説で、「国際法の継続的な違反や新植民地主義的な傾向」を批判。指導者らに対し、正義と連帯の原則に基づく行動を強く求めた。

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トランプ氏の発言を、世界各地で多くのカトリック信者が批判している。
イタリアの著名なカトリック評論家マッシモ・ファッジョリ氏は「ヒトラーやムッソリーニでさえ、これほど直接的に、かつ公然と教皇を攻撃することはなかった」と述べた。
教皇はこれまで、多くの演説を通じて世界の紛争を非難し、中東での緊張緩和を訴えてきた。また、トランプ氏の強硬な移民政策を批判してきた。
教皇レオは、前任の教皇フランシスコの人道主義を受け継いでいるとみられている。故教皇フランシスコは2016年米大統領選挙の最中、トランプ氏の反移民的な発言を理由に、同氏を「キリスト教徒ではない」と糾弾した。トランプ氏は同教皇を「恥ずべき人物」と評した。
アメリカには人口の約2割を占める7000万人以上のカトリック信者がいる。J・D・ヴァンス副大統領もその1人。













