レバノンとイスラエルが10日間の停戦、ヒズボラも条件付きで合意と トランプ氏が発表

画像提供, Reuters
イスラエルとレバノンは現地時間17日午前0時(日本時間同午前6時)、10日間の停戦に入った。この数時間前にドナルド・トランプ米大統領が、両国首脳と電話会談し、停戦に合意したと発表していた。
レバノンのジョセフ・アウン大統領は合意を歓迎。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、和平に向けた「歴史的な」機会だと述べた。また、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラも、条件付きでこの合意を順守するとしている。
米・イスラエルは2月28日にイランへの攻撃を開始。その後、3月2日にイランが支援するヒズボラがイスラエルを攻撃したことで、イスラエルがレバノンへの攻撃を開始した。
この合意は、米・イランが合意した2週間の停戦とは別のものとされている。ネタニヤフ氏はこれまで、米・イランが合意した停戦にレバノンは含まれないと主張し、レバノンへの攻撃を続けていた。
ヒズボラとイスラエルは、停戦発効直前の16日まで、攻撃の応酬を続けていた。

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停戦合意を発表する投稿の中で、トランプ大統領は、レバノンのアウン大統領とイスラエルのネタニヤフ首相の双方と会談したと述べた。
「私は、高く尊敬されているレバノンのジョセフ・アウン大統領と、イスラエルのビビ・ネタニヤフ首相と、非常に良好な会話を行った」と、トランプ氏は自分のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」で発表した。「ビビ」は、ネタニヤフ氏の愛称。
「両首脳は、両国間の和平を実現するため、米東部時間午後5時に10日間の正式な停戦を開始すると合意した」
トランプ氏は、さらに協議を続けるため、イスラエルのネタニヤフ首相とレバノンのアウン大統領をホワイトハウスに招待するとしている。
また、ヒズボラに対しては、発効したイスラエルとの停戦を順守するよう求めた。
「この重要な期間に、ヒズボラが礼儀正しく、穏健に行動することを望む」と、トランプ氏は「トゥルース・ソーシャル」に書いた。
「そうすれば、彼らにとって素晴らしいことになる。これ以上の殺し合いは不要だ。ついに平和を実現しなくてはならない!」(太字は原文では全て大文字)と、米大統領は強調した。
米国務省が発表した合意の詳細によると、13日に米首都ワシントンで対面協議を行った両国が、「戦争状態にはないことを確認し、アメリカの仲介のもと、誠意をもって直接交渉に取り組むことを約束」したという。
レバノンとイスラエルは外交関係を持っておらず、直接的な協議を行ったのは1993年以来だった。
このほか、合意には以下の内容が含まれている。
・停戦は「イスラエル政府による善意の表明」
・交渉に進展の兆しが見られれば、停戦は「双方の合意によって延長される可能性がある」
・アメリカは、計画された攻撃、切迫した攻撃、または進行中の攻撃に対し、イスラエルが「いついかなる時でも自衛のために必要なあらゆる措置を取る」権利を確認
・停戦開始後、レバノン政府は、自国内のヒズボラおよび「その他すべてのならず者の非国家武装勢力」がイスラエルを攻撃するのを防ぐため、「実質的な措置を講じる」
・停戦に関与する関係者は、「レバノンの主権および国防に対する排他的な責任」を認める
・イスラエルとレバノンは、残る全ての問題の解決を目的として、「両国間の直接交渉をさらに主導する」ようアメリカに要求
一方ヒズボラは声明で、イスラエルとの停戦には、「レバノン全土にわたる包括的な攻撃停止」と、「イスラエル軍に行動の自由を認めないこと」が含まれる必要があると述べた。
ヒズボラはこのほか、「3月2日以前の状況への回帰」を求めている。ヒズボラは、イスラエルがイランの最高指導者アリ・ハメネイ師を2月28日に殺害したことへの報復として、3月2日にイスラエルへの攻撃を開始した。
ヒズボラは、「イスラエルによるレバノン領土の占領が続くことで、レバノンとその国民に抵抗する権利を与える」と主張している。
イスラエル軍はレバノン南部にとどまるとネタニヤフ氏
レバノンのナワフ・サラム首相は、イスラエルとの一時的な停戦合意を歓迎すると述べ、この合意は戦争勃発以降、レバノンが求めてきたものだとした。
サラーム首相は、この合意によって、紛争で避難を余儀なくされた人たちが自宅に戻れるようになることを期待していると述べた。
また、停戦実現に向けた国際的な取り組みを称賛した。
イスラエルのネタニヤフ首相は、レバノンとの停戦は「歴史的な和平合意を結ぶ機会」だと述べた。
ネタニヤフ首相は、今後のレバノン政府との協議において、ヒズボラの武装解除が、イスラエルにとって基本的な要求の一つになると述べた。
一方で、イスラエル軍は、レバノン南部に10キロにわたって設置した「安全地帯」にとどまると強調。「侵攻の危険を阻止」し、イスラエルの地域に向けた砲撃を防ぐためだと述べた。
また、「まだ問題は残っている」とし、ヒズボラが依然として保有しているミサイルなどについて、「合意の一環として対処しなければならない」と述べた。
さらに、トランプ大統領から、イランに残る核能力は「何だろうと」解体するつもりだと伝えられたとも明らかにした。
イラン外務省のイスマイル・バガイ報道官は、レバノンを含む停戦は、パキスタンが仲介した当初の米・イラン合意の一部だったと述べた。
バガイ報道官は、イランとして「当初から」、レバノンを含む「地域全体での同時停戦」の必要性を強調してきたと述べた。
また、レバノンの人々と政府に対する「連帯」を表明し、レバノン南部からのイスラエル軍の「完全撤退」が必要だとあらためて述べた。
イランのイスラム革命防衛隊(IRGC)コッズ部隊のエスマイル・ガーニ司令官は、イランのメディアに掲載されたメッセージで、停戦合意の「勝者」は「英雄的なヒズボラ」だと記した。
ガーニ司令官は、「停戦が達成されたのなら、それはレバノンの抵抗勢力による不屈の忍耐と、イラン・イスラム共和国による支援の結果だ」と述べた。
また、「一部の者は(レバノン国民に)屈辱を押し付けようとしている」と述べたが、誰を指しているのかは明らかにしなかった。
ヒズボラとイスラエルは攻撃の応酬
レバノン軍は、レバノンとイスラエルの間の停戦合意について、すでに複数の違反があったと明らかにした。
同軍はソーシャルメディア「X」の公式アカウントへの投稿で、断続的な砲撃を含む、イスラエルによる複数の攻撃をレバノンの複数の村で記録したとしている。
また、避難している人たちに対し、南部の町に戻る際には注意を払うよう求め、危険な地域を避けるよう呼びかけた。
現時点では、イスラエル国防軍(IDF)はこの件にコメントしていない。
イスラエルとヒズボラは、停戦の発効まで1時間を切ったなかでも、レバノン国境を越えた攻撃を続けていた。
ヒズボラは、直近の1時間で複数のイスラエルの標的にロケット弾を発射したと主張。その中には、イスラエル北部のカルミエルやナハリヤといった都市や、ロシュ・ハニクラ検問所が含まれると述べていた。
一方のIDFは停戦発効直後、過去24時間にレバノン南部で380カ所以上のヒズボラ関連標的を攻撃したと発表。ロケット発射装置やヒズボラの司令部および構成員らが含まれていたとしている。
レバノンの治安当局高官はロイター通信に対し、イスラエル軍の攻撃によって、レバノン南部とそれ以外の国土を結ぶ橋が破壊されたと話した。
レバノンの国営通信社は、ティルス周辺とサイダを結ぶカスミエ橋が、2回にわたる攻撃によって完全に破壊されたと伝えている。
イスラエルはこれまで、ヒズボラによるレバノンの国家インフラの利用を阻止するため、国内の橋を標的にしていると主張してきた。
米・イランの合意も近いとトランプ氏
レバノンとイスラエルの停戦発表後、トランプ氏はホワイトハウスの外で記者団に対し、アメリカとイランは合意に非常に近づいており、イラン政権はアメリカの要求のほぼ全てに同意していると述べた。
また、イランが20年以上にわたって核兵器を保有しないことで合意したと述べた。
「イランと合意できそうで、その見通しはとてもいい。良い合意になる。核兵器を持たない合意になる」
トランプ氏は、「20年を超えてに核兵器を持たないという、非常に強力な言葉を手に入れた」と述べ、「正直に言えば、20年という期限などない」と付け加えた。
これについて、イラン側からのコメントは現時点で出ていない。
米下院、戦争停止の決議案を再び否決
米連邦下院は16日、トランプ氏による対イラン戦争の遂行権限を制限する決議案を否決した。前日には、同様の措置が上院で否決されていた。
決議案は、賛成213、反対214の僅差で否決された。同案は象徴的な性格が強く、大統領による拒否権の行使が見込まれる中で成立する可能性は低かった。議員の1人は棄権した。
下院では3月にも、同様の措置を可決しようとする動きがあったが、否決に終わった。ただし、戦闘開始以降の数週間で判断を明らかに変えた議員もおり、3月の採決では賛成212、反対219だった。
同様の措置を上院が今回、4月15日に否決した際には、一部の共和党議員が、戦争が60日目に達した場合、投票行動が変わる可能性があると記者団に述べていた。
連邦の戦争権限法は、軍事行動を60日以上継続するには議会の承認が必要だと定めている。アメリカとイスラエルによるイランへの空爆は2月28日に始まった。








