ホルムズ海峡「開放」とイラン 実際に動いている船は少ない様子

画像提供, Reuters
キャスリン・アームストロング
イランのアッバス・アラグチ外相は17日、ホルムズ海峡が商業船舶向けに開かれたと述べた。ただし、船舶は指定された安全航路を使うべきだと付け加えた。アメリカのドナルド・トランプ大統領は同日、イランとの和平合意が成立するまで、イランの港への海上封鎖を続けると述べる一方で、海峡開放は「世界にとって偉大で輝かしい日だ」と主張した。海事関連団体は、海峡の通航が安全かどうかをまだ確認中だとしている。船舶追跡データが示す船の移動は、最小限にとどまっている様子。
2月28日にアメリカとイスラエルがイラン攻撃を開始して以来、イランは主要な原油輸送路のホルムズ海峡を事実上封鎖してきた。アメリカとイランの停戦は4月22日に期限を迎える予定。アラグチ外相による海峡開放の発表の前日には、イスラエルとレバノンが10日間の停戦期間に入っていた。
アラグチ外相はソーシャルメディア「X」への投稿で、「レバノンでの停戦に沿い、停戦の残りの期間、イラン・イスラム共和国港湾海事機構がすでに発表している調整済みの航路において、すべての商業船舶に対してホルムズ海峡は完全に開放されると宣言する」と発表した。
イラン国営テレビはその後、「軍の高官」の話として、こうした船舶は「指定された航路」を通航することになり、軍艦の海峡通過は引き続き「禁止される」と伝えた。
「指定航路」とは、イランのイスラム革命防衛隊(IRGC)が指定した地図と2つの航路を指している可能性が高く、イランのメディアが先週、広く報じていた。

イランの一部の報道機関は、アラグチ外相の発表を批判している。IRGC系のタスニム通信は、外相の発表を「悪いもので不完全」と批判し、アメリカの海上封鎖が続くならば船舶の通航は「無効」とみなされると評した。これ以外にも、イラン当局に説明を求める声が出ている。
パキスタン・イスラマバードで11~12日に行われたアメリカとの協議でイラン代表団を率いたイランのモハンマド・バゲル・ガリバフ国会議長は「X」で、トランプ氏は「1時間のうちに7つの主張をしたが、その7つすべてが虚偽だった」と書いた。
議長はホルムズ海峡については、「(アメリカの)封鎖が続く限り」、海峡は「開放されたままにはならない」と述べた。
レバノン南部を拠点とするイスラム教シーア派の政治・軍事組織ヒズボラは、イランと協力関係にある。2月28日に始まった対イラン攻撃への報復としてヒズボラが反撃したことを理由に、イスラエルは3月2日にレバノン空爆を開始した。
一方、トランプ氏は、戦争終結に向けたイランとの協議が週末にかけて続くと明らかにし、双方の立場に大きな隔たりはないとの見方を示した。
これに先立ちイラン外務省は、濃縮ウランの備蓄は「いかなる状況でも、いかなる場所にも移転しない」と表明。トランプ氏が17日に、イラン政権が濃縮ウランのアメリカ引き渡しに同意したと主張したのを、否定した。
トランプ氏は、BBCがアメリカで提携するCBSニュースにも、濃縮ウランを回収するために地上部隊は必要ないと述べ、アメリカとイランが「協力して回収」した後、「それをアメリカに持ち帰る」と話していた。
世界の原油と液化天然ガス(LNG)の約20%は通常、ホルムズ海峡を通過するが、最近の敵対行為の中で、輸送船の数は大幅に減少。イランは、タンカーなどの船舶を攻撃すると脅すとともに、機雷を敷設したと警告してきた。
このため世界経済に衝撃が走り、燃料価格は急騰した。アラグチ外相の今回の発表を受け、17日には原油価格が急落したが、この発表の有効性や、一時的な再開で船舶の通航が可能になるのかについては疑問が残っている。
国際海事機関(IMO)のアルセニオ・ドミンゲス事務局長は、BBCに対し、「海運業界のためには、船舶の航行にリスクがなく、国際法に則っていると、さらにはっきりする必要がある」と述べた。
IMOは、すでに航行を再開した船舶があるとの情報を得ているものの、「標的にされないよう、識別システムを停止する船舶もある」ため、なお確認が必要だとしている。

コンサルティング会社コントロール・リスクスで海事安全保障を担当するコーマック・マクギャリー氏は、アラグチ外相の発表を受けても、海峡再開について「昨日より楽観視できるようになったわけではない」とBBCラジオに話した。
マクギャリー氏は、今回の声明では「基本的に何も変わらない」と述べ、機雷の脅威が残っていると指摘した。
「現時点では、今後数週間の海運の見通しはかなり厳しい」とも、マクギャリー氏は話した。
イギリスのキア・スターマー首相は17日、イギリスとフランスが、ホルムズ海峡の商業航路を守るための多国籍任務を主導すると発表した。
首相は49カ国が参加した会合の後、英仏の対応は「あくまでも平和的かつ防衛的」なもので、湾岸地域での戦闘が終結した後にのみ実施すると強調した。











