イタリア、イスラエルとの防衛協定を停止

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イタリアのジョルジャ・メローニ首相は14日、イスラエルとの防衛協定を更新しないと発表した。
この協定は5年ごとに更新される。メローニ氏は「現在の状況を鑑みて」、政府として更新停止を決定したと説明した。詳細は明らかにしなかった。
イタリアとイスラエルの関係は長年堅固だったが、このところ悪化している。
先週、レバノンに派遣されているイタリアの国連平和維持部隊の車列に対し、イスラエル軍が警告射撃を実施。負傷者はなかったが、車両1台が損傷した。これを受け、イタリアは在ローマのイスラエル大使を呼び出した。
一方、イスラエルも13日、イタリアのアントニオ・タヤーニ外相の発言に抗議する目的で、駐イスラエルのイタリア大使を呼び出した。同外相は、イスラエルがレバノン民間人に「容認できない攻撃」をしていると非難していた。
イタリアの国防当局はBBCに、同国政府の立場がイスラエルとの協力の枠組みにおいて、法的・実務的にどう影響するのか、なお検討中だとした。
ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、イタリアは、イスラエルへの武器輸出が世界で3番目に多い。それでも2021~2025年のイスラエルの武器輸入全体でみると、イタリアの武器は1.3%でしかない。最大の輸出国はアメリカとドイツだ。
イスラエルがパレスチナ・ガザ地区での軍事作戦を進めていた間、ヨーロッパの数カ国が、イスラエルへの武器輸出を一時停止したり制限したりした。
イタリアも同様の措置を取るよう求める声が、ここ数年、多くのイタリア国民から出ていた。抗議の街頭デモやストライキには数十万人が参加した。
しかし、メローニ氏の右派連立政権は、イスラエルと非常に親密な欧州同盟国であり続けた。各国が続々とパレスチナ国家の承認に踏み切っても、それに加わらなかった。
国民投票で敗れ
だが、メローニ政権は3月下旬、司法制度改革をめぐる国民投票で敗北を喫した。多くの国民はこの投票を、特にイスラエルやアメリカとの関係をふまえて、政府を支持するかを問う投票と位置づけた。
以来、メローニ氏は、アメリカとイスラエルによるイランとの戦争を、「国際法の範囲を超えた」介入という、拡大しつつある危険な傾向の一部だと位置づけるようになっている。
イタリアでは次の総選挙まで1年半となっている。メローニ氏は、イタリア有権者の間でますます不人気になっているイスラエルやアメリカから距離を取ろうと、自らの発言を微妙に修正している。
13日にも、キリスト教カトリック教会トップの教皇レオ14世に対するドナルド・トランプ米大統領の軽蔑的な発言について、「容認できない」と異例の非難をした。メローニ氏はその後、教皇への「連帯」を表明した。
トランプ氏はこれに即座に反発。伊紙コリエレ・デラ・セラに対し、「彼女にはショックを受けた」、「彼女は勇気があると思っていたが、間違っていた」と話した。
また、「イランが核兵器を保有しているのかや、機会があれば2分でイタリアを吹き飛ばすであろうことを(メローニ氏は)気にしていない」と付け加えた。
トランプ氏との距離は戦略か
メローニ氏は、イタリアとアメリカの亀裂が自身の支持率回復につながると期待している節がある。
トランプ氏は一時、メローニ氏に対する好意をはっきりと示していた。それによりメローニ氏は、欧州連合(EU)諸国の中で、特別な交渉人としての地位を得た。メローニ氏の支持者らは、政治家としての資産だと評価した。
しかし、トランプ氏がどんどん不人気になっている現在、同氏との結びつきはマイナスの効果を生む恐れがある。1月の世論調査では、イタリアの有権者の63%が、アメリカに対して否定的な見解をもっていた。
トランプ氏がメローニ氏を批判すると、メローニ氏の支持者らは素早く同氏を擁護した。タヤーニ伊外相は、「教皇レオ14世については、彼女(メローニ氏)は私たちイタリア人全員の考えをまさに言い表した。首相と政府はイタリアの利益だけを守る立場にあり、今後も常に守っていく」とXに投稿した。
グイド・クロセット国防相は「同盟国であることは、すべてを黙って受け入れることではない。自分が正しいと信じることを明確に表明する勇気をもつことだ」とした。











