イスラエルの極右閣僚、拘束されたガザ支援船の活動家あざける 国内外で非難噴出

画像提供, Office Of Itamar Ben Gvir/Handout via Reuters
パレスチナ・ガザ地区に支援物資を届ける船に乗っていた親パレスチナ活動家らが、イスラエル海軍に拘束された。この活動家らに対してイスラエルの閣僚が見せた行動に、国際社会から非難の声が上がっている。
イスラエルの極右政治家のイタマル・ベン=グヴィル国家安全保障相は20日午後、両手を後ろで縛られ、ひざまずいた活動家らをあざけっている自分自身の動画を、「イスラエルへようこそ」というキャプションを添えて投稿した。ベン=グヴィル氏は、活動家らが収容されているアシュドッド港の施設を訪問していた。
動画では、ベン=グヴィル氏が近くを通り過ぎた際に「フリー、フリー、パレスチナ」と叫んだ女性活動家が、警備員に押さえつけられている。ベン=グヴィル氏はその警備員を励ましている。
続いて、ベン・グヴィル氏は、後ろ手に縛られてひざまずく数十人の活動家の横で、大きなイスラエル国旗を振っている。そして、「イスラエルへようこそ。私たちが主人だ」とヘブライ語で告げている。
船の甲板で、イスラエルの国歌が流れるなか、活動家らがひざまずいている場面もある。
船団には40カ国以上の430人参加
40カ国以上からの活動家430人が乗った50隻超の船からなる「グローバル・スムード船団(GSF)」は今月14日、わずかな量の支援物資を積み、トルコを出港した。戦争で荒廃したガザにおけるパレスチナ人の過酷な状況に関心を集めるのが狙いだった。イスラエルはこれを、「(ガザのイスラム組織)ハマスのためのPR行動」だと一蹴していた。
GSFによると、船に乗っていた活動家らは、ガザのパレスチナ人向けに食料、粉ミルク、医療支援物資を運んでいた。ガザでは、昨年10月にイスラエルとハマスが停戦で合意した後も、住民210万人のほとんどが避難生活を余儀なくされており、生活環境は極めて厳しいままとなっている。
この船団に対し、イスラエル海軍の特殊部隊は18日朝、同国が海上封鎖しているガザ沿岸から約250カイリ(約460キロ)離れたキプロス西方の公海上で、航行を妨害した。
GSFによると、19日夜までにほぼ全船が航行を阻止された。1隻だけが、ガザから80カイリまで接近したという。
GSFは、イスラエルが「違法な公海上での攻撃」をしたと非難。特殊部隊が6隻に対して発砲や放水をし、1隻に故意に体当たりしたとした。
イスラエル外務省は、実弾の使用はなかったとし、同国として「ガザに対する合法的な海上封鎖のいかなる違反も許さない」と主張した。また、活動家全員はイスラエル船に移送され、イスラエル到着後に出身国の領事らとの面会が認められるとした。
イスラエルの人権団体「アダラ」は20日朝、活動家らが「本人の意思に完全に反してイスラエル領内に連行され」、アシュドッド港で拘束されていると発表。「弁護団が、これらの拘束の合法性に異議を申し立て、船団の参加者全員の即時釈放を求めていく」とした。
欧米やイスラエル国内で非難
ベン=グヴィル氏の投稿に対し、欧米で非難の声が噴出している。
アメリカのマイク・ハッカビー駐イスラエル大使は、ベン=グヴィル氏の行動を「卑劣」と非非難した。
イギリスのイヴェット・クーパー外相も、動画には「全くもって恥ずべき光景」が映っているとし、イスラエル大使館に呼び出し状を送り「早急な説明」を求めたとした。外相はこれに先立ち、「関係している何人かのイギリス国民の家族と連絡を取り、領事支援を提供している」と説明した。
カナダのマーク・カーニー首相はソーシャルメディア「X」への投稿で、イスラエルによる活動家への対応を「いまわしい」と批判。イスラエル大使を呼び出すよう指示したとし、「民間人の保護と人間の尊厳の尊重は、あらゆる場所で、どんな時も守られなければならない」と強調した。
オーストラリアのペニー・ウォン外相も、ベン=グヴィル氏を非難し、イスラエル当局の行動は「名誉を傷つけるもの」だとした。
アイルランドのヘレン・マケンティー外相は、アイルランド国民を含む「違法に拘束された参加者ら」が「相応の尊厳や敬意をもってまったく扱われていない」ことが動画からわかるとした。
このほか、イタリア、フランス、オランダ、ベルギー、スペインも、ベン=グヴィル氏の行動は「容認できない」とし、イスラエル大使を呼び出したとした。

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イスラエルのギデオン・サール外相も、閣僚仲間を非難する異例の動きを見せ、「この恥ずべき振る舞いで、あなたは故意に私たちの国に損害を与えた。しかも、これが初めてではない」、「あなたはイスラエルの顔ではない」などとXに書き込んだ。
この投稿に対しては、ベン=グヴィル氏は即座に反論。「イスラエルはもはや、何をされても甘んじる弱い存在ではない。外相ならそのことを理解するべきだ」とした。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相も、ベン=グヴィル氏を非難する声明を発表。「イスラエルには、ハマス支持者の挑発的な船団が領海に侵入し、ガザに到達するのを阻止するあらゆる権利がある」とした一方で、「ただし、船団の活動家らに対するベン=グヴィル大臣の対応は、イスラエルの価値観や規範に沿ったものではない」とした。
首相はさらに、「挑発者(活動家)らをできるだけ早く国外退去させるよう」当局に指示したと付け加えた。
ガザの状況については、国連が先週、依然として多くの避難者が過密状態のテントや甚大な被害を受けた建物に身を寄せざるを得ないと報告した。
また、基本的なサービスの利用は限定的なままで、清潔な水の供給も不安定だと説明。ごみの管理も機能不全に陥っており、公衆衛生上の懸念に対して実質的な対処ができていないと付け加えた。害虫やネズミも問題だとした。
一方、イスラエル外務省は、ガザでは「支援物資があふれている」とし、過去7カ月間で150万トン以上の支援物資と数千トンの医療物資が搬入されたとしている。











