英労働党で党首選への動き加速 ストリーティング保健相が辞任、 バーナム市長は補選出馬へ

白いシャツに濃い色のジャケットを着た2人が向かい合って話している。木製のパネル張りの部屋に立っており、バーナム氏は手にグラスを持っている。

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画像説明, スターマー英首相(左)と、グレーター・マンチェスターのバーナム市長
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リチャード・ウィーラー政治記者

イギリス地方選で与党・労働党が大敗した結果を受け、キア・スターマー首相の党首としての将来をめぐる憶測が広がっている。これまでのところ、党首への正式な挑戦は開始されていないが、党首選を見据えた動きが加速している。

有力候補の一人とされているウェス・ストリーティング保健相は14日、スターマー氏の指導力への信頼を失ったとして同職を辞任した。

直後には、労働党議員の1人が、党内で強い支持を集めているグレーター・マンチェスターのアンディ・バーナム市長を下院に復帰させるため、自らの議席を空けると発表した。

労働党の党首選に出馬するには、下院議員である必要がある。また、この議席を得るため、バーナム氏は補欠選挙で勝利しなければならない。

さらに、別の有力候補とされるアンジェラ・ライナー前副首相はこの日、同職辞任の原因となった税務問題を解決したと発表。立候補の懸念材料を払拭(ふっしょく)したことをアピールした。

青いスーツと水色のシャツに、赤いネクタイを締めたストリーティング氏

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画像説明, 保健相を辞職したストリーティング氏

ストリーティング氏は、地方選後に辞任した初めての主要閣僚となった。

同氏は声明で、「この政権の不人気」が先週の選挙における労働党の不振の原因だと指摘。「指導者は責任を負うが、それはあまりにも頻繁に、他の人々が犠牲になることを意味してきた」と述べた。

ストリーティング氏はまた、この国が直面する課題は「我々が提示しているよりも大胆なビジョンと、より大きな解決策を必要とするものだ」と述べた。

ストリーティング氏からの党首選への挑戦の可能性については言及はなかったが、同氏の陣営は、挑戦を発動するのに十分な議員の支持があると主張した。ただし、この主張はスターマー氏の側近によって否定されている。

ストリーティング氏を支持するアラン・ジェメル議員は、BBCラジオ4の番組「ワールド・アット・ワン」で、ストリーティング氏は「きょう、原則に基づく判断として、党首選の開始を引き起こさないことを決めた」と述べた。

また、「議員や労働組合との対話から明らかなのは、党が議論を望んでいるということ、理念の対決、開かれた競争、我々が進むべき方向と、直面している問題をどのように解決するかについての幅広い競争を望んでいるということだ」と付け加えた。

一方、ブリジット・フィリップソン教育相は、ストリーティング氏が保健相として「素晴らしい仕事をしてきた」と述べた反面、同氏が取った立場には同意しないとした。

首相官邸は14日夜、ストリーティング氏の後任として、財務省のジェイムズ・マリー国庫担当官を次期保健相に指名した。

「市にもたらした変化をイギリス全土に」

イングランド北西部メイカーフィールド選出のジョシュ・サイモンズ議員はこの日、バーナム氏が「この国が切望している変化を推し進めることができる」と信じていると述べ、辞職する意向を示した。

これを受けてバーナム氏は、同地区の補選に労働党候補として出馬する意向を示した。そして、「グレーター・マンチェスターにもたらしてきた変化をイギリス全体にもたらし、政治を人々のために正しく機能させる」ために議会に戻るべく人々の支持を求めるとした。

さらに同氏は、「一票たりとも当然だとは考えない」とし、「北西部のこの選挙区で人々の信頼を取り戻すために懸命に取り組む」と述べた。同選挙区では2024年の総選挙で、労働党がリフォームUKに対し5399票差で勝利している。

バーナム氏は今年2月、ゴートン・アンド・デントン補欠選挙への立候補を、労働党の統治機関である全国執行委員会によって阻まれていた。この選挙で労働党は、緑の党に敗れている。

BBCの取材によれば、スターマー氏は、バーナム氏がメイカーフィールドで出馬するのを阻止しない見通しだ。

ただし、補選の日程はまだ発表されておらず、政府が正式な手続きを開始する時期によって決まる。

スターマー氏の側近は、同氏が「働く家庭が直面する問題に対処するため、党をまとめることに注力している」と述べた。

「潔白を証明」とレイナー氏

黒いセダンから降りて報道陣に手を振るレイナー氏。前髪のあるロングヘアーで、赤いワンピースを着ている。背後には首相官邸の玄関がぼやけて写っている

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画像説明, レイナー議員

前副首相のレイナー議員はこの日、英歳入関税庁の調査を受けた後、未払いとなっていた4万ポンドの印紙税を精算し、税務問題を解決したと発表した。

レイナー氏は、「意図的な脱税」との非難について、自身の「潔白が証明された」と述べた。

同氏は昨年9月、イングランド南部ホーヴで80万ポンドの住居を購入した際に印紙税を十分に支払わなかったことが、閣僚行動規範の違反にあたると判断された後、閣僚職や党の要職を辞任した。

レイナー氏は14日付の英紙ガーディアン紙で、労働党の党首選に出馬する可能性を否定しないとしながらも、自らが選挙戦を「引き起こす」ことはないと述べた。

「私は変化を実現するために、可能な限りあらゆることを行う役割を果たす。これは個人的な野心ではない。それがどれほどの違いをもたらすか、私は理解している」

労働党の規則では、党首選を開始するには1人の候補が党議員の20%にあたる議員81人の支持を得ている必要がある。スターマー首相は、出馬の意向を示せば自動的に候補者となり、推薦を集める必要はない。

ルーシー・パウエル副党首は15日、消防士組合の大会で演説する際に、バーナム氏、ストリーティング氏、レイナー氏の3人はいずれも労働党チームの「重要な役割を担うべきだ」と述べる見通しだ。