副操縦士に刺された機長、「他の人たちを死なせたりしないと決心」 フライトドバイ機

画像提供, Narendra Modi
アラブ首長国連邦(UAE)のドバイからイスラエル・テルアヴィヴに向かっていたUAEの旅客機が緊急信号を発出したあと、サウジアラビアの空港に緊急着陸した事件で、副操縦士に刺されたインド人操縦士が2日、インドのナレンドラ・モディ首相とビデオ通話で会談した。スミット・マッチャール機長は、刺された後にコックピットの扉を開けて乗客を中に入れた際、絶対に乗客と他の乗員を死なせないと決意していたと語った。
マッチャール機長は副操縦士に襲われて床に倒れている状態で、乗客170人以上を乗せた飛行機が急降下していることに気づき、何とかしなくてはと思ったのだと、モディ首相に話した。
「私はけがをして床に倒れていましたが、最後にもうひとふんばりして、内側からドアを開けようと自分に言い聞かせました」と、機長はモディ首相に話した。
「まだ襲われてけがを負い続けていましたが、なんとか(コックピットの)ドアを開くことができた。するとほかの人たちが入ってきました」
「他の人たちも駆けつけて、(事態の掌握に)貢献してくれました。私はもちろん自分の命を守るために戦っていましたが、同時に他の人たちを死なせたりしないと決心していました」とも述べた。

画像提供, Embassy of India in Israel
UAEの格安航空フライドバイのFZ1073便は9月30日未明に離陸し、約2時間後に1万7000フィート(約5200メートル)超、急降下した。
同機はまず航空管制官に緊急信号を送った後、ハイジャックを示すコードスクォーク7500に切り替えた。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は事件後、メディアに対し、操縦士の一人がもう一人を刺した後、「明らかに飛行機を墜落させようとした」と述べた。
乗客たちが襲撃者を制圧した後、機内に搭乗していた予備操縦士2名が、現地時間午前6時58分にサウジアラビア北西部のタブーク空港に飛行機を無事着陸させた。
ネタニヤフ首相から「真の英雄」と称賛されたマッチャール機長は、タブークの病院に搬送された後、UAEのアブダビに空路で移送されたた。容体は安定しているという。
ネタニヤフ氏は1日、米FOXニュースに出演し、襲撃したのはオマーン国籍の人物だとし、「飛行機を墜落させよう」としていた「可能性が非常に高い」と話した。
また、乗客と乗員によって取り押さえられて縛られた襲撃者が、「乗員に向かって『殺せ、殺せ』と叫んでいた。だから自殺願望があったことは明らかだ。疑いの余地がない」と述べた。
そして、「乗っていた乗客がどんな人だったかや、私がいま言ったイスラム過激主義的な傾向、彼の経歴に見られる過激化を考慮すれば、かなりのことが見えてくると思う」と話した。
UAEの国営通信社によると、UAE当局は「今回の事件がテロ活動やテロ目的と関連しているかどうか」について捜査を開始した。
マッチャール氏の身元が明らかになって以来、インドのソーシャルメディアは機長への称賛の声で溢れている。
モディ首相は機長に対し、「(あなたの)勇気、忍耐力、そして迅速な決断力が大勢の命を救った」と述べ、国全体が彼を誇りに思っていると伝えた。
機長はモディ首相に対し、17年間飛行機を操縦してきた経験から、「目を閉じていても飛行機に何が起こっているか分かる」と話した。
機長は首相に、「私と話すため、あなたが電話をかけてくれた。とても誇らしく思います。これまではあまり自分のことを誇りに思っていなかったけれども、今ではそう思います。あなたの前で泣いてしまってすみません」と言いながら、包帯の巻かれた手で涙をぬぐった。
これに対してモディ首相が、「スミット、私の前で君が感情を表現できないとしたら、誰ができるんですか」と返すと、機長は涙ながらに笑顔を浮かべた。
在UAEのインド大使館は1日、マッチャール氏の「健康状態は良好で、順調に回復している」と発表した。ディーパク・ミッタル大使は、「スミット機長の勇気を誇りに思う」とともに、本人に面会して「大変安心した」と述べた。
機長は、「自分の傷を傷として見ていません。そう見てしまうと、回復がさらに困難になるので」と言い、「これはゆっくりとした旅のようなものだと考えています。時間はかかるでしょうが、必ず回復して、再び健康で元気になれると確信しています」と話した。












