エボラ出血熱のリスク、WHOが「非常に高い」に引き上げ コンゴ民主共和国について

マスクを着けた男女が身を寄せ合っている。黒い上着を着た男性は下を見て、ピンクと白の服を着た女性は横を見ている

画像提供, Reuters

画像説明, エボラ出血熱による死者を悼む人々(21日、コンゴ民主共和国・ブニア)
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コンゴ民主共和国(旧ザイール)で発生しているエボラ出血熱の流行をめぐり、世界保健機関(WHO)は22日、同国における公衆衛生上のリスクを「高い」から「非常に高い」に引き上げた。

WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長は、スイス・ジュネーヴでの記者会見で、「現在、リスク評価の見直しを進めており、国(コンゴ民主共和国)レベルでは『非常に高い』、地域レベルでは『高い』、世界レベルでは『低い』としている」と述べた。

コンゴ民主共和国の状況については、テドロス氏は「これまで82人の感染が確認され、7人の死亡が確認された」と説明。

2人の感染と1人の死亡が確認されている隣国ウガンダについては、状況は「安定している」とし、感染者2人はいずれもコンゴ民主共和国から移動してきた人だとした。

目下、感染が拡大しているエボラ出血熱の「ブンディブギョ株」は、感染者の約3分の1が死亡するまれな株で、有効性が確認されたワクチンがない。今回の流行では、コンゴ民主共和国を中心に、これまで177人の死亡と750人の感染が疑われている。

エボラ出血熱の感染拡大が広がっているコンゴ民主共和国とウガンダの地図。感染が報告されたモングワル、ルワンパラ、ブニア、ニャクンデ、ブテンボ(以上コンゴ民主共和国)、カンパラ(ウガンダ)の各地域やが赤色で示されている

ワクチン開発進む

こうしたなか、英オックスフォード大学の科学者らは新たなワクチンの開発を進めている。2~3カ月以内に臨床試験に進む可能性があるとされる。

このワクチン開発は、英製薬大手アストラゼネカの新型コロナウイルスワクチン開発のために同大学がつくり出した技術を使っている。ワクチンの有効性は保証されておらず、確認するためには動物実験や人を対象とした臨床試験が必要となる。

同大学ではすでに動物実験が進んでいるとの情報を、BBCは得ている。

同大学によるエボラワクチン原料の供給が可能になり次第、インドのセラム研究所が量産する見通し。

ブンディブギョ株を対象とした別のワクチン開発も進んでいる。ただ、臨床試験までは6~9カ月かかるとみられている。

WHOの研究開発顧問ヴァシー・ムーシー博士は今週、このワクチンが「最も有望」と発言。エボラ出血熱で一般的な「ザイール株」向けのワクチン「エルベボ」と同等のものになると述べた。

反政府勢力の支配地域での感染拡大に懸念

エボラ出血熱は、ウイルスによって引き起こされる病気で、感染はまれだが致死率が高い。ブンディブギョ株は、エボラウイルスの他の株より致死率は低いが、珍しい株のため、感染を阻止する手段が少ない。

エボラウイルスは通常、オオコウモリ(フルーツコウモリ)などの動物が感染する。感染した動物を食べたり扱ったりすることで、ヒトの間でも感染が拡大することがある。

WHOは今月17日、エボラ出血熱の流行を「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に当たると宣言した。ただ、パンデミック(世界的大流行)のレベルには達していないとした。

コンゴ民主共和国では、反政府勢力が支配する地域でも、エボラ出血熱の感染例がいくつか確認されている。

WHOのテドロス氏は22日、戦争で荒廃した地域での暴力や治安悪化が、エボラ出血熱の流行への対応を妨げていると警告。信頼関係を築くことが極めて重要だと述べた。