トランプ政権の2800億円超「反武器化」基金、米連邦地裁が一時差し止め 「政治的捜査」補償が目的の基金

星条旗のピンが付いたダークスーツに、赤いネクタイ姿のトランプ米大統領が、口を開き、前方を見ている。後ろには星条旗がぼやけて見える

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アメリカ・ヴァージニア州の連邦地裁判事は29日、トランプ政権が先週発表した約18億ドル(約2860億円)の「反武器化基金」の設立について、一時差し止めを命じた。同基金は、過去の政権下で政治的捜査の対象となったと主張する人々に補償を行うことを目的としている。

ヴァージニア州のレオニー・ブリンケマ連邦地裁判事はこの日、6月12日に予備審理が行われるまで、司法省が同基金を設立あるいは運営することを禁止した。禁止事項には、補償請求の処理や支払いも含まれる。

「反武器化基金」の設立は、司法省が先週発表した。

2ページにわたる29日の判事命令を受け、司法省報道官は、同基金の合法性について「大いに確信している」と述べた。

ドナルド・トランプ大統領は18日、自分の納税申告書の流出をめぐり、内国歳入庁(IRS)に対して起こしていた100億ドル(約1兆5900億円)の損害賠償を求める訴訟を取り下げた。この和解の付帯条項に、「反武器化基金」の設立が含まれていた。

議会承認なく、監督体制や補償対象に懸念も

基金設立に関する覚書には、どのような人が補償の対象となるのかは明記されていない。2021年1月6日に、前年の米大統領選におけるジョー・バイデン氏当選の議会認定を阻止しようと連邦議会議事堂を襲撃し、訴追された大勢のトランプ支持者が、補償を請求するつもりだと述べている。

議会の明確な承認なしに同基金が設立され、監督体制が不十分なまま運営されることへの懸念から、野党・民主党だけでなく、与党・共和党の一部からも強い反発が巻き起こった。

共和党のジョン・スーン上院院内総務は、自分は同基金の「熱烈な支持者」ではないとし、補償請求の処理方法が不透明だと指摘した。

今回の訴訟は、同基金は差別的だと主張する男性2人が提起したもの。2人は、トランプ政権による政治的報復の標的にされたが、トランプ政権は自分たちのことを同基金の補償対象として認めないだろうと訴えている。

司法省報道官は、「豊富な前例に裏付けられた反武器化基金の合法性について、極めて確信している」と述べた。「判事の政策上の好みが、法的闘争の被害者への救済を図る我々の取り組みを妨げることは容認しない」とも付け加えた。

ヴァージニア州にあるリッチモンド大学のカール・トバイアス法学教授は、民主党のビル・クリントン政権が任命したブリンケマ判事について、「非常に経験豊富」で、「注目度の高い、幅広い案件を慎重に解決してきた」人物だと評価した。

また、今回の司法判断によって、同基金が一時的に差し止められる可能性がある一方で、議会ではその「財政権」を根拠に、司法省の取り組みをさらに制限する法案の成立を目指す動きがみられるとも付け加えた。

トランプ氏をめぐっては、ヴァージニア州での訴訟に加え、複数の法的な異議申し立てが連邦裁判所で審理されている。

27日には、アメリカの元連邦判事35人が、トランプ氏によるIRSへの訴訟取り下げについて、和解の付帯条項をさらに徹底的に精査するよう求める書簡を、訴訟の担当判事に送った。

この和解では、IRSは今後、トランプ氏と家族、および関連企業の過去の納税申告を調査することが認められなくなった。