トランプ氏、ウクライナに「パトリオット」ミサイルのライセンス生産容認

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ラウラ・ゴッツィ記者、サラ・レインズフォード東欧特派員(キーウ)
アメリカのドナルド・トランプ大統領は8日、ウクライナに対し、防空ミサイル「パトリオット」の生産権を与えると表明した。ウクライナにとっては、ロシアの弾道ミサイルによる攻撃への防衛強化につながる。
トランプ氏はこの日、トルコの首都アンカラで北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領とも会談した。
トランプ氏は、「パトリオットの生産ライセンスを与える」とゼレンスキー氏に提言。「説明さえすれば、すぐに生産できるようになるだろう」と述べた。
また、米防衛機器大手ロッキード・マーティンとレイセオンには自分の決断をまだ伝えていないとしたうえで、「だが、うまくいくだろう」と言った。
トランプ氏はさらに、生産ライセンスを与えることで、「私たちが(パトリオットを)十分に与えていないと(ウクライナが)文句を言う」ことができないようにすると述べた。
パトリオットのライセンス生産は、ウクライナがアメリカに正式に要請していた。ゼレンスキー氏が5月下旬、明らかにしていた。
防空システム「パトリオット」は、飛来するミサイルを検知・迎撃する世界最高レベルの防空システムの一つとされる。価格も最高レベルで、1システムはミサイルを搭載した状態で約10億ドル(約1625億円)となっている。
製造にかかる期間が長く、米国防総省によると、ミサイルの製造は年600発にとどまっている。
米シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」によると、アメリカはイランとの戦争で備蓄の半分以上を消費したため、わずかでも手放したくない状況だという。
トランプ氏はこの日、「私たちはパトリオットを持っている。だが、それほど多くはない。自分たちの分も必要だ」と述べた。
ただ、ウクライナはパトリオットを至急必要としている。ここ数カ月、ロシアによる弾道ミサイル攻撃が増えており、この1週間で首都キーウだけで数十人が死亡している。

ウクライナでの戦争は4年半が過ぎ、前線はほぼ膠着(こうちゃく)状態に陥っている。ロシアは毎晩のように何百機ものドローンを発射するが、ウクライナは対抗する方法をおおむね習得している。
だが、弾道ミサイルは高速かつ急角度の軌道で飛行するため、迎撃が難しい。ゼレンスキー氏はこれを、ロシアの「最後の大きな強み」と呼んでいる。
そのため多くの弾道ミサイルが、ウクライナの消耗した防空網を突破している。
ウクライナ空軍によると、5日夜から翌朝にかけてのロシアの攻撃では、発射された弾道ミサイル23発のうち迎撃できたのはゼロだった。迎撃ミサイルの「深刻な不足」が原因だという。この攻撃の死者は20人以上に上った。
ウクライナでは、国内でのパトリオット生産が可能か疑う見方もある。
同国の元治安機関職員で軍事専門家のイワン・ストゥパク氏は、「残念ながら、ウクライナはこうした高度な兵器を生産できない。非常に高度で最先端の装備だからだ」とBBCに説明。
「技術面からも法律面からも、(生産は)ヨーロッパの地で展開され、監督されることになるだろう」、「これは安全の問題だ。ウクライナに安全な場所などこにもない」とし、プロセス整備には数カ月かかるかもしれないと述べた。
ウクライナとロシアの首脳協議については
トランプ氏はこの日の記者会見で、ウクライナが最近、ロシアに対する長距離攻撃で大きな成果を上げているとした。
そして、「これは事態のエスカレーションだ。だが、終結につながるエスカレーションでもある」と述べた。
トランプ氏の隣に座ったマルコ・ルビオ米国務長官は、ウクライナによるロシア製油所への攻撃について、「領空防衛がいかに困難か」をロシアに分からせるために必要だと主張。クレムリン(ロシア大統領府)に戦争終結を迫るものだとした。
トランプ氏はまた、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が戦争終結のための合意を望んでいると発言。ゼレンスキー氏とプーチン氏が会談する可能性に言及した。
プーチン氏はゼレンスキー氏との会談について、モスクワで開催されるなら前向きだと、繰り返し述べている。一方で、ゼレンスキー氏がロシア訪問に同意する可能性は極めて低い。
トランプ氏がこの日、「君はモスクワに行く用意があるか」と尋ねると、ゼレンスキー氏は英語で淡々と、「難しいです。あそこはウクライナのドローンがたくさん飛んでいるので。危険です」と当意即妙に答えた。











