イギリスがEU単一市場の規則を採用する可能性 スターマー政権が法案検討、野党は反発

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ジョー・パイク政治調査担当編集委員、ハリー・セクリッチ記者
イギリスの労働党政権は、議会での採決を経ずに、イギリスが欧州連合(EU)単一市場の規則を採用できるようにする法案を策定している。食品基準などの分野でイギリスを新たな欧州規制と整合させることを目的とした法案の一部だという。
労働党関係者はBBCに対し、「これによって企業のコストは引き下げられ、毎週の買い物の費用を押し上げている、ブレグジット(イギリスのEU離脱)による書類手続き税が取り除かれる」と語った。
この計画は、最大野党・保守党とリフォームUKから強い反発を招いている。
EU単一市場は、EU加盟国がさまざまな共通規則や基準を適用することで、加盟国間で物品、サービス、人が自由に移動できるようにする協定。
イギリスとEUは現在、食品安全や動植物の健康に関する基準を含む、さまざまな協定について交渉しており、今年後半にも、これに伴う議会立法が提出される見通し。法案には、すでに協定が締結されている分野についてEUとのいわゆる「ダイナミック・アラインメント(動的整合性)」を可能にする、新たな権限が盛り込まれるという。
実現すれば、EUが新たな規則を承認するたびに、二次立法でイギリスの法律に組み込まれることになる。二次立法は通常、修正できず、採決を経ずに形式的に承認されることが多い。
そのため、イギリスの議員が新規則を精査できる機会が制限されることになる。
政府報道官は、「この法案は通常の手続きを経て議会で審議される。EUとのいかなる新たな条約や合意も議会の審査に付され、そうした合意の下で必要となる新たなEU法については、二次立法を通じて議会が承認に関与する役割を持つ」と述べた。
さらに、「これにより、年間51億ポンド(約1兆970億円)規模の『食品・飲料』分野の貿易協定を実現する。イギリスの雇用を支え、農家、生産者、企業にとって負担の大きい官僚的手続きを大幅に削減できる」と語った。
労働党はこれまで、EU単一市場や関税同盟への再加盟を否定してきた。しかし、新たな立法により、EUと結んだ協定の下、一部の欧州規制を採用する可能性が出てくる。
労働党関係者は、「我々は、議会が発言権を持つ中で、貿易障壁を下げるための合意を結ぶという主権的な選択をしている」と述べた。
一方、保守党のアンドリュー・グリフィス影のビジネス相は、これは「ブリュッセルが条件を決める中で、英議会が傍観者に成り下がる」ことを意味すると指摘した。
リフォームUKのナイジェル・ファラージ党首は、この立法に「あらゆる段階で」反対すると宣言。「イギリスを再び欧州連合の支配下に引き戻そうとする裏口からの試みだ」と非難した。
野党・自由民主党のムニラ・ウィルソン下院議員は、BBCのウエストミンスター・アワーに対し、「欧州とのより緊密な関係は必要だが、同時に議会制民主主義も必要だ」と語った。
イギリスとEUは昨年5月、関係の再構築に向けた協定に合意。漁業権や通商、防衛、エネルギーなどの分野での関係強化を約束した。今夏には、英・EU首脳会議が開かれる見通しだ。
キア・スターマー首相は、今年のサミットは「昨年の首脳会議で合意したこれまでの約束を追認するだけではなく」、「より野心的なものになる」と語った。









