サウジアラビアのエネルギー相、フーシ派の空港攻撃に「厳しい対応」取ると
イランの支援を受けるイエメンの反政府勢力フーシ派が、サウジアラビアの空港や石油・ガス関連施設を相次いで攻撃し、死傷者が出ている事態を受け、サウジアラビアのアブドルアジズ・ビン・サルマン・エネルギー相は12日、フーシ派に「厳しい」対応を取ると表明した。
アブドルアジズ氏は、首都リヤドで開かれたWPCエネルギー会議で、「ここ数週間の出来事は深刻なものだ。我々も同様に厳しく対応する必要がある」と述べた。
サウジアラビア当局によると、リヤドにあるキング・ハーリド国際空港の旅客ターミナルが11日に攻撃を受け、パキスタン人男性1人が死亡した。
この空港は前日10日にも攻撃された。11日とは別のターミナルにフーシ派のミサイルが着弾し、13人が死亡した。被害を受けたターミナルは閉鎖を余儀なくされた。
フーシ派は一連の攻撃について、同組織が支配するイエメン西部に対する「サウジアラビアの残忍な侵略行為」への報復だと主張している。
フーシ派が運営する保健省は、11日にイエメンの首都サヌアの住宅がサウジアラビア軍に空爆され、子ども1人が死亡、6人が負傷したと発表した。
サウジアラビア主導の連合軍は、イエメンの紅海沿岸などでフーシ派と戦うイエメン政府軍に航空支援を行っている。
リヤドでは12日夜、再び爆発音が聞こえた。サウジアラビア主導の連合軍は弾道ミサイル1発を迎撃・破壊したと発表した。
フーシ派はリヤドの国際空港を再び攻撃したと、同組織の報道官は述べた。
こうした中、カタール航空は、リヤドおよびサウジアラビア北東の街ダンマーム行きの便を運休にすると発表した。
エティハド航空は「地域的な混乱」を理由に、アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビとサウジアラビアのリヤド、ジッダ、ダンマームを結ぶ便の運行を取りやめた。
キング・ハーリド国際空港は17日まで閉鎖される見通し。

1週間に4回の空港攻撃
WPCエネルギー会議は11日、リヤドの空港から約10キロ離れた会議場で開幕した。同空港は過去1週間に計4回の攻撃を受けている。
8日には、空港施設と駐機中の航空機1機に対する2回の攻撃があり、サウジアラビア国営航空会社「サウディア」の操縦士1人を含むサウジアラビア人3人が死亡した。
10日の第3ターミナルへのミサイル攻撃では、サウジアラビア人4人、バングラデシュ人2人のほか、アメリカ、エジプト、ヨルダン、シリア、パレスチナ、スーダン、インドの出身者それぞれ1人が死亡した。
サウジアラビアの民間航空当局によると、11日には飛翔体が第4ターミナルに着弾し、サウジアラビア在住のパキスタン人1人が死亡した。
同国北東部ダンマームにあるキング・ファハド国際空港も11日夕に攻撃を受けたが、死傷者は報告されていない。
その後、サウジアラビア主導の連合軍は、同国東部でドローン1機を迎撃したほか、南西部ハミス・ムシャイトに向けてフーシ派が発射したミサイル1発も迎撃したと発表した。
どんな事態も「乗り越える」
アブドルアジズ氏は12日のWPCエネルギー会議で、一連の攻撃にもかかわらず会議に出席した業界幹部や政策担当者らに謝意を示した。
「皆さんは、この国が安全で、我々が心から皆さんの安全確保に取り組んでいることを分かっている」と、アブドルアジズ氏は述べた。
一方で、「エネルギー安全保障は当然のものとして享受できるものではない」と認め、最近の情勢は「我々のインフラや制度、国民、そして回復力を試す」ものだとした。
その上で、サウジアラビアはこれらの困難を乗り越えると約束した。
「我々サウジアラビア人は、恐れ知らずの、闘志に満ちた固い決意を持つ国民だ」とアブドルアジズ氏は述べた。「我々はどのような事態に直面しようとも、それを乗り越えることを世界に証明する」。
フーシ派はアブドルアジズ氏の発言について、直ちにはコメントしていない。
フーシ派、「事態激化には事態激化で」応じると
フーシ派の軍事報道官、ヤヒヤ・サリー准将は11日夕に動画声明を出した。その中でサリー氏は、サウジアラビア軍が過去24時間にイエメンで124回の空爆を行ったことへの報復として、リヤドとダンマームの空港に複数のミサイルとドローンを発射したと述べた。また、東部の石油・ガス施設2カ所も攻撃したとした。
同氏は、イスラム教の聖地メッカとメディナを発着する便を除き、航空会社や乗客に対して、サウジアラビアの空港や領空を利用しないよう改めて警告した。
フーシ派は「サウジアラビア領内の奥深くでの作戦を激化し続け、『封鎖には封鎖で』、『事態激化には事態激化で』応じるという構図を突きつける。侵略が終わり、我々の大切な民に対する包囲が解除されるまで、サウジアラビアの敵の増援を標的にし続ける」と、サリー氏は誓った。
国際社会の反応
10日に起きたキング・ハーリド国際空港への攻撃は、国際社会から広く非難された。
国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、「深い衝撃を受けた」とし、民間人や民間インフラへの攻撃は国際法違反だと警告した。
アメリカのドナルド・トランプ大統領は、サウジアラビアによるフーシ派への攻撃にアメリカが加わるかどうかについて「決断を下す」つもりだと述べた。米軍はすでに、サウジアラビア主導の連合軍に対し、情報や標的選定の支援を行っていると報じられている。
イランは、フーシ派に武器や訓練を提供しているとの疑惑を繰り返し否定している。同国は今回の事態激化について「深く懸念している」と表明し、事態の解決に向けた「対話と関与」を呼びかけた。
2022年の非公式停戦が破綻
イエメンでは、2014年にフーシ派がサヌアから政府を追放したことを機に内戦が始まり、国内が荒廃した。内戦は、サウジ主導のアラブ連合軍が、政府による統治を回復しようと介入した2015年に激化した。
2022年には、サウジアラビア主導の連合軍とフーシ派との間で非公式の停戦が発効した。しかし、4年後の今年7月、フーシ派がサウジアラビアに対する「海上封鎖」を発表。サウジアラビア国内の空港や石油施設、紅海を航行するタンカーに対し、ミサイル・ドローン攻撃を開始したことで、この停戦は破綻した。
フーシ派は封鎖について、同組織のイエメンの支配地域にある港湾や空港をサウジアラビアが封鎖し、サヌア空港を空爆したことへの報復だと主張している。一方、イエメン政府はサヌア空港への攻撃は自ら行ったもので、無許可のイランの航空機が着陸するのを阻止するためだったとした。
フーシ派は先月、イエメン南西部の紅海沿岸で奇襲攻撃を開始し、イエメン政府軍を追い出した。占領した地域は、紅海南端の海上交通の要衝、バブ・エル・マンデブ海峡を見下ろす位置にある。
フーシ派は、同海峡を通過する国際船舶に対して脅威を与えるつもりはないとしたが、サウジアラビアからの船舶は標的にし続けると表明した。
しかし、フーシ派による同海峡周辺の占領は、世界の原油価格急騰の一因になっている。米・イスラエルとイランの戦争により、ペルシャ湾のホルムズ海峡が事実上封鎖され、サウジアラビアは原油輸出を紅海を通過する航路に依存するようになったためだ。
イエメン政府は先週、フーシ派の全支配地域を奪還するため、新たな攻勢を開始したと発表した。
サウジアラビア軍が激しい空爆で支援したことで、イエメン政府軍はバブ・エル・マンデブ海峡周辺の地域を速やかに奪還できたと主張している。ただ、フーシ派は支配地域を失った事実はないと否定している。















