トランプ氏、習氏がホルムズ海峡開放への協力申し出たと 会談初日について米メディアに説明

ダークスーツ姿の両首脳が右手で握手している。習氏はほほ笑んでいる。周囲には多くの人がいる

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画像説明, 握手する中国の習国家主席(左)とアメリカのトランプ大統領(14日、北京)
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中国・北京で14日にあった習近平国家主席とアメリカのドナルド・トランプ大統領の会談について、内容が双方からの発信で明らかになってきた。トランプ氏は会談後の米テレビ局のインタビューで、世界経済に大きな影響を及ぼしているホルムズ海峡の状況について、習氏が開放を望んでおり、協力を申し出たと述べた。また、中国がイランに兵器を提供しないことを習氏が約束したとした。

両首脳は14日、予定を超えて2時間以上にわたって会談した。冒頭、習氏は、中国とアメリカは「ライバルではなくパートナー」であるべきだと訴えた。トランプ氏は、習氏を「偉大な指導者」と評し、両超大国の関係は「かつてないほど良好」になると述べた。また、米中関係を「世界で最も重要な経済関係」だとした。

米FOXニュースは米時間14日夜(日本時間15日午前)、14日の首脳会談後に撮影したトランプ氏のインタビューを放送した。

その中でトランプ氏は、中国がホルムズ海峡の開放を望んでいると述べた。同海峡は、アメリカとイスラエルがイランを攻撃したことを受け、イランが実質的な封鎖を続けている。これにより、原油価格が高騰している。

トランプ氏は、「彼(習氏)は、中国がそこで大量の石油を購入しているとし、今後もそうしたい意向を述べた。彼はホルムズ海峡の開放を望んでいる」とした。

また、海峡開放の合意形成に関して、習氏が支援を申し出たと発言。「あれほど大量の石油を購入していれば当然、向こう(イラン)とは何らかの関係があるだろうが、彼(習氏)は『もし何かの役に立てるなら、喜んで協力したい』と言った。彼はホルムズ海峡の開放を望んでいる」と述べた。

トランプ氏はさらに、会談ではイランをめぐって習氏に対し、アメリカは実質的に中国を「支援」していると伝えたと明かした。

「イランが核兵器を持つことは中国も望んでいないと思う」と、トランプ氏は述べた。

トランプ氏は、中国がイランに兵器を提供しないことを習氏が約束したとも発言。「彼は軍事装備品は提供しないと言った。これは大きな声明だ」とした。

米ホワイトハウスは、「イランが核兵器を保有することは決してあってはならないという点で両国が合意した」とする声明を発表。「ホルムズ海峡は、エネルギーの自由な流通を支えるために開放され続けなければならない」とした。

貿易では「前回より成果」とトランプ氏

ダークスーツ姿のトランプ氏が斜め前を向いて口を軽く開いている

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画像説明, FOXニュースのインタビューで話すトランプ氏

FOXニュースのインタビューでトランプ氏は、貿易に関して、今回の会談は「前回よりもよかった」と述べた。前回は36件の合意を結んだが、今回はそれより「はるかに大規模」だとした。

トランプ氏は、中国が大豆など「私たちの農産物を大量に購入する予定だ」と説明。司会者から、中国はアメリカに何を求めているのかと問われると、「話し合うべきことが多すぎるが、多くのことだ」と、具体的な内容には踏み込まずに答えた。

さらに、中国がアメリカからの石油購入に合意したと主張。「私たちは中国の船をテキサス州やルイジアナ州、アラスカ州に向けて送り始める」とした。

そして、「エネルギーこそ(中国が)本当に必要としているものだ」、「私たちには無限のエネルギーがある」と述べた。

トランプ氏はまた、習氏がボーイング製のジェット機200機の購入を「確約」したと説明。「200機もの大型機だ。これは多くの仕事を生み出す」、「ボーイングは150機求めていたが、200機獲得した」と述べた。

動画説明, 子どもたちの歓声、2時間超の会談、世界遺産視察……トランプ氏の訪中初日

「貿易休戦」は継続を確認か

一方、中国外務省は、会談で習氏が、直前に韓国で行われた両国の貿易交渉に触れ、「進展」をもたらしたと述べたと発表した。

ただ、そうした事前準備にもかかわらず、両国はこの日の会談では、大きな貿易協定や構造的な合意には至らなかった。

それでも双方は、昨年10月に合意した「貿易休戦」の継続を確認したとされる。この休戦では、アメリカが中国製品に対する関税の大幅な引き上げを凍結し、中国はレアアース(希土類)の輸出規制を緩和した。

ホワイトハウスによると、両首脳は「貿易委員会」の設立で合意したという。これは、関税交渉を再開することなく両国の関係を調整する仕組みとされる。

米当局者らは、こうした仕組みが完全に機能するまでには多くの作業が必要だと警告している。

ホワイトハウスはまた、首脳会談では、米企業の中国市場へのアクセス拡大や、米産業への中国からの投資拡大も議論されたと説明した。

中国側は、アメリカの農産物やエネルギー製品の購入を拡大する意向を示した。

米農家は、大豆、牛肉、鶏肉について、中国市場へのさらなるアクセスを求めている。だが、会談でその点が話し合われたのかは発表されなかった。

トランプ氏は今回の訪中に、電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)、半導体大手エヌビディアのジェンスン・フアンCEO、アップルのティム・クックCEOらテクノロジー企業30社のトップらを同行させている。

米企業にとって、中国は主要市場である一方、規制や煩雑な手続き、地政学的な不確実性のため、事業を展開するのが困難な場所となっている。

中国国営・新華社通信によると、習氏はこの日、米ビジネスリーダーらに対し、中国の「扉はさらに大きく開かれる」と述べ、米企業は中国市場において「より広い展望」をもつことになると語った。

習氏はまた、貿易、農業、医療、観光、法執行における協力の拡大を呼びかけ、2国間関係を「互恵的」で、「ウィンウィンの成果」をもたらすものだと述べたという。

台湾めぐり「衝突」を警告

中国の国営メディアは、14日の会談が始まってまもなく、習氏の発言について報道。台湾をめぐって、「適切に対処すれば、二国間関係はおおむね安定を保つことができる。適切に対処しなければ、両国は対立し、衝突にさえ至る恐れがある。そうなれば、米中関係全体が非常に危険な状況に押しやられる」と習氏は述べたとした。

この報道によると、習氏は台湾の独立と台湾海峡の平和は「根本的に相いれない」とも発言。同海峡の平和が「中国とアメリカの間の最大の共通基盤」だと主張したという。

中国政府は台湾を自国の領土だと主張しており、中国は武力で台湾を「再統一」する可能性を否定していない。一方、自治を主張する台湾は、アメリカを主要な同盟国としている。

トランプ政権は昨年、台湾への110億ドル(約1兆7000億円)相当の武器売却を発表。中国は当時これを非難し、今回の首脳会談の前にも警告を発した。

習氏を9月にホワイトハウスに招待

トランプ氏と習氏は15日も「お茶」とワーキングランチを共にする予定となっている。

その後、トランプ氏は中国を離れ、帰国の途につく。

トランプ氏は14日の国賓としての夕食会で、9月に習氏をホワイトハウスに招待すると表明した。