カナダ・アルバータ州で住民投票、分離独立を否決 「カナダにとって素晴らしい結果」とカーニー首相

「永遠にカナダ」と書かれた揃いの黒いシャツを着て、カナダ国旗を手に笑顔を浮かべる人たち
画像説明, アルバータ州のカナダ残留を支持する人たち(19日、カナダ西部アルバータ州エドモントン)
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カナダ西部アルバータ州で19日、カナダからの分離独立へ向けて法的手続きを開始するかどうかを問う住民投票が行われた。アルバータ州の選挙管理委員会によると、20日夜時点の開票結果では、投票した約75%の人が、アルバータ州はカナダにとどまるべきだと選んだ。これについてマーク・カーニー首相は同日、カナダにとって「素晴らしい結果」だと歓迎した。

カーニー首相は20日、閣議へ向かう際に記者団に対し、「アルバータ州民が統一を選んだのは素晴らしいことだ」と述べた。

今回の住民投票には法的拘束力はないものの、アルバータ州の分離独立を求めるグループが数カ月前から要求してきた。住民は、「アルバータ州は引き続きカナダの州であるべきか。それとも、アルバータ州がカナダから分離するべきかどうかを問う、法的拘束力のある州民投票を実施するために、アルバータ州政府はカナダ憲法に基づいて必要な法的手続きを開始するべきか」が問われた。

これについて、圧倒的多数の住民が「アルバータ州は引き続きカナダの州であるべきだ」という選択肢を選んだ。

ダニエル・スミス州首相は、「アルバータ州民は、統一されたカナダの中で、より強いアルバータ州を求めて投票した」と結果を歓迎した。

スミス氏自身は分離独立運動に反対したが、今回の住民投票を求める意思は否定できないとしていた。同州与党・統一保守党(UCP)の支持者の多くが、分離独立を求めていた。

カナダからの独立を求める分離主義者の多くは、石油資源が豊富なアルバータ州の経済成長が、オタワにある中央政府の環境政策によって阻害されていると主張していた。

しかし、カーニー首相をはじめとする分離反対派は、アメリカとの貿易戦争など、カナダが国外から圧力を受けている現状では、カナダは一致団結した姿勢を示すべきだと主張していた。

「(アルバータ州民は)この国を一緒に築いていくことを選んだ」とカーニー首相は、今回の投票結果を歓迎。「互いに支え合い、前進し続け、目的意識と高い志を持って共に前進することを選んだ」と述べた。

カーニー氏は、20日朝にスミス州首相と話をし、「移民問題やその他の共通の優先事項を含め、協調的連邦主義の精神に基づいて前進していく」ことについて話し合ったとした。

カーニー氏はこの1年間、スミス氏と協力して、太平洋岸への石油パイプライン建設の推進など、多くの共通目標に取り組んできた。

開票速報を大勢で見る分離派の会場で、クリーム色のカウボーイハットとジャケットを身に着けたジェフリー・ラス氏が、当惑した表情を浮かべている。後ろには、沈んだ表情の人たちが立っている
画像説明, 開票速報を見る分離派のリーダー、ジェフリー・ラス氏

エドモントンで開かれた分離派の開票速報パーティーでは19日夜、カナダの放送局CBCなどが分離否決を示す開票速報を発表すると、それまでの陽気な空気が一変した。BBCが取材していた開票速報パーティーはすぐに解散し、参加者は家路についた。

しかし、分離運動を率いる弁護士のジェフリー・ラス氏は、「我々の運動は止まることなく、前進し続ける」と約束した。

ラス氏はBBCワールドサービスのニュース番組「ニュースデイ」に出演し、19日の投票は運動に「貴重な教訓」を与えた「第一歩」だと述べた。

分離派が望む結果を得られるまで、住民投票の継続を要求し続けるのかという質問には、「それのどこがだめなんだ?」と答え、「計算と経済の両面から見ても、自分の主張は正しい」と主張した。

中西部サスカチュワン州のスコット・モー州首相は、アルバータ州民が統一を選んだのはうれしいことだが、「中央政府によるカナダ西部の扱いを改善するためには、まだやるべきことがある」と述べた。

アルバータ州選出の国会議員で、最大野党・カナダ保守党を率いるピエール・ポワリエーヴル党首は、「カナダの可能性実現のための闘いには価値がある」と述べた。

「今こそ、人々の生活に具体的な成果をもたらすことに焦点を当てるべきだ。手頃な価格の食料と住宅、安全な街路、強固な国境、そして移民の減少などだ」と、党首は述べた。

カナダの州が分離独立を検討するのは、1980年と1995年に東部ケベック州で行われた2回の住民投票以来。2回ともケベック州民は分離独立を否決したものの、アルバータ州の分離派は、ケベック州がこの2回の住民投票を通じて独立すると中央政府を脅すことで、中央政府に対して大きな政治的影響力を獲得したと考えている。

アルバータ州のスミス州首相は今回の住民投票に先立ち、州民が残留を選択するなら、分離に関する拘束力のある住民投票は実施されない、少なくとも自分が州政府の政権を握っている間は実施されないと述べていた。

今回の住民投票を経ても、アルバータ州の主権をめぐる議論はまだ終わっていない。分離運動の指導者たちは、自分たちに共感する指導者を擁立しようとしており、スミス州首相の交代を目指す考えを示している。

分離派のリーダーの一人、ミッチ・シルヴェスター氏は投票日にBBCに対し、自分たちが敗れた場合、独立への欲求を抑えるために「多くの作業が必要になる」と話していた。

住民投票では、分離独立の是非をめぐる質問のほか、ほかにも拘束力のない質問が九つあり、そのうち五つは移民問題に関するものだった。合法移民の公共サービス利用について条件を厳格化するなどの質問に対して、20日夜時点の開票結果では、過半数がそれを支持していた。