英空軍基地の近くで逮捕の5人、その1人が自ら救急通報 車内に爆発物なし

ダニエル・サンドフォード・イギリス国内担当編集委員、タラ・メワワラ記者
イングランド南西部グロスタシャー州にある空軍基地の近くで男性5人がテロ行為の準備と爆発物関連の法律違反の疑いで逮捕された事件で、5人のうち1人が自ら緊急通報番号の「999」に電話をかけていたことが、BBCの取材で分かった。警察の調べによると、基地近くで発見したバンの車内に一定量のガソリンを見つけたものの、爆発物は見つからなかったという。
イギリス対テロ警察(CTP)とグロスタシャー州の警察は27日、同州にあるフェアフォード空軍基地近くで、男性5人を逮捕したと発表した。3台の「不審車両」が空軍基地に向かって走行していると通報があったという。基地はアメリカ空軍が長年使用し、最近ではイランに対する防衛的攻撃の拠点として使っている。
近隣の農家の女性は同日未明、目出し帽をかぶった男の人たちを見たと「999」に通報したとBBCに話している。それより1時間近く早い午前0時45分ごろ、逮捕された容疑者の1人が自ら「999」に電話をかけていたことが、取材で新たに分かった。
空軍基地の近くで3台のバンが発見され、警察当局は「重大事件」として男性5人を逮捕した後、28日には「経験と戦略に基づいた捜査上の決定」だとして、5人を保釈した。
警察によると、バンを捜索したところ、車内に一定量のガソリンを見つけたものの、爆発物は見つからなかったという。

フェアフォード基地のすぐ東にあるウェルフォード村の農家の女性は27日未明、「不審な車両3台」を見たと警察に通報した。
女性はBBCに対し、自宅に戻ったところ、私道と公道が車両でふさがれ、「フードをかぶり、覆面をした大勢の男の人たち」がいるのが見えたのだと話した。
「私が999に通報したことで、彼らの計画を阻止できたのだと思う」と、女性は付け加えた。
その後まもなく、爆発物処理班が現場に到着し、半径400メートルの規制線が張られた。
しかし、イギリスの対テロ警察を率いるローレンス・テイラー警視総監補は28日午後、警察による27日未明の対応は「さまざまな情報」に基づくものだったと話した。
基地付近の規制線は30日にも完全に解除される見込み。27日に避難させられた85世帯の住民は、すでに帰宅が認められた。
逮捕された5人はいずれもイギリス国籍で、年齢は23歳から25歳。うち4人はロンドン中心部のウェストミンスターに、1人はロンドン北部のカムデンに住んでいる。それぞれの自宅の捜索はすでに完了している。
テイラー警視総監補は29日、5人の保釈について「捜査が継続中のため、行動や他者との接触に関して厳しい条件が課される」と説明。「国民の安全は、我々の捜査における意思決定の最優先事項であり、昨日もまさにそうだった」と話した。
「(保釈という)この展開に驚く人がいることは理解するが、これは捜査に基づく決定で、経験と戦略に基づいたものだと繰り返したい」
フェアフォード空軍基地は数十年にわたり、アメリカ空軍が前方作戦拠点として利用している。
直近では、今年2月28日から米・イスラエルが開始したイラン攻撃に関連して、3月1日に使われた。当時のキア・スターマー英首相が、フェアフォード基地を含むイギリス軍基地をイランに対する「防衛的」攻撃のために使用することを、アメリカに認めたのを受けてのことだった。
テイラー警視総監補は、捜査員たちが「複数の筋」を調べていると述べ、外国勢力の代理人や、外国政府のためにわざと、もしくはそうと知らないまま活動していた個人が関与していた可能性についても捜査していると話した。
警視総監補は、この事件について大勢が心配しており、「国際的なコメントによって、それはさらに高まっている」とも述べた。これは、アメリカ政府からの発言を念頭に置いたものとみられる。
イギリスのアンディ・バーナム首相は28日午後、政府の緊急事態対策委員会「COBRA会議」を開き、「当局が事実関係の全容を解明している間は、臆測を控える」よう国民に呼びかけた。
イランは7月、「イラン領土に対する侵略行為に使用された基地は、イラン軍の正当な標的となる」と警告している。
しかし、在ロンドンのイラン大使館は、イランと今回の事案を結び付ける「根拠のない、悪意に満ちた臆測」を「断固として否定し、強く非難する」と表明。こうした臆測は、「イギリス国内でイラン嫌悪のプロパガンダをあおる以外、何の目的も果たさない」と付け加えた。












