英与党、下院補選についてバーナム市長の出馬届を受理 党首選への道開く

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ケイト・ワネル、ポール・バーネル
イギリス地方選で大敗して以来、内紛の続く与党・労働党は15日、下院議席の補欠選挙について、イングランド北部グレーター・マンチェスターのアンディ・バーナム市長の出馬届を受理した。バーナム氏は労働党の政治家の中では特に有権者の人気が高く、下院議員になれば党首選に出馬し、キア・スターマー首相に挑戦する可能性も出てくる。市長の下院補選出馬へ道を開くため辞職した労働党議員は、党が「内部崩壊」していたからだとBBCに話した。
労働党の全国執行委員会(NEC)は、イングランド北西部メイカーフィールド選挙区の補選について、バーナム市長の出馬届を受理した。NECは今月21日、市長を公認候補とするか選考会で決める。1月に同氏が別の選挙区の補選に立候補しようとした際には、執行委は公認候補としての出馬を認めなかった。
メイカーフィールド選挙区の下院議席は14日、労働党のジョシュ・サイモンズ下院議員がバーナム氏に道を譲るため辞任すると表明したことで、空席となった。
バーナム氏が同選挙区補選で労働党の公認候補となり、かつ当選した場合は、スターマー首相に代わる首相の座を目指すと、広く見られている。
対するスターマー首相は、辞任要求や退任時期の明示を求める党内の声に抵抗し続けている。バーナム氏や他の有力候補からの挑戦にも応じる構えだ。
補選は6月18日に実施される見通し。
スターマー首相は15日、ロンドンの警察指令センターを訪れていたが、記者団の質問には応じなかった。
首相の盟友のスティーヴ・リード住宅相は、「非常に厳しい1週間だったが、今は少しゆっくり息をする必要がある。この週末を使って、今の状況を振り返り、来週になったら、国民に託された国のための仕事に集中すべきだ」と述べた。
7日の地方選での大敗を受け、労働党では首相への辞任圧力とそれに対する首相の抵抗を中心に、ここ1週間ほど慌ただしい駆け引きが続いたものの、今ではいったん落ち着きを取り戻している。
これまでに同党の下院議員約90人がスターマー首相の辞任を求め、主要閣僚1人と政務次官4人が閣僚ポストを辞任している。しかし、党の規則により、1人の候補者が労働党議員81人の支持を得て名乗りを上げない限り、党首選は始まらない。
さらに労働党の規則では、バーナム市長は下院議員にならない限り、党首選に立候補できない。
バーナム市長は14日、メイカーフィールド選挙区に党の公認候補として出馬できるよう申請すると発表。「グレーター・マンチェスターで実現した変化をイギリス全体にもたらし、政治を国民のために正しく機能させたい」と述べた。
また、「一票たりとも、得て当然だなどとは思わない」と付け加えた。
労働党候補選考への応募締め切りは5月18日で、選考会は5月21日に行われる。
メイカーフィールド選挙区は長年、労働党にとって勝利が確実な安全な議席とされてきた。しかし最近では、野党リフォームUKへの支持が高まっているため、バーナム氏にとって厳しい選挙戦となる可能性がある。
ウェス・ストリーティング氏もかねて党首候補とみられており、14日に保健相を辞任したことで、その観測は一層強まった。
ストリーティング氏は辞意表明にあたり、党の今後の方向性について幅広い議論を呼びかけた。自分自身が党首に立候補するかどうかは明言しなかった。
ストリーティング氏の支持者たちは、党首選出馬に必要な議員81人の支持を確保していると主張している。
ストリーティング氏はソーシャルメディアへの投稿で、バーナム氏の議会復帰を歓迎し、「最高の人材の出場が必要だ」と述べた。
労働党のアンジェラ・レイナー前副党首は英紙ガーディアン紙に対し、自分が党首選に立候補する可能性は排除しないとしつつも、自ら党首選を「引き起こす」つもりはないと述べた。
最大野党・保守党のケミ・ベイドノック党首は、「アンディ・バーナムは10年間、議会を離れていながら、いきなり首相になろうとしている」と批判した。
リフォームUKのリチャード・タイス副党首は、補選で自分たちこそが「地殻変動的な勝利」を収めるため「あらゆる手段を尽くす」と述べた。
野党・緑の党は、「自分たちは、ゴートン・アンド・デントンでの選挙や最近の地方選挙での活動と勝利から学び、リフォームに勝てると示してきた」と述べた。
内務省のマイク・タップ政務次官は、ここ数週間の党首をめぐる混乱について謝罪し、BBCラジオ4の番組で「この機会に、心から謝りたい。国民の皆さん、ここにいる全員、そしてこれを聞いているすべての人に、皆さんが目にしてきた状況について謝りたい」と述べた。
さらに、「私は、このようなことのために選挙で選ばれたのではない」、「ここ数週間、目の前で繰り広げられてきたことは、本当に、本当に見ていてつらかった」とも言い、「過去から引き継いだかなり残念な事態を立て直す」よりも、自分のやるべき仕事に「取り組みたい」と話した。
労働党のニール・コイル議員はBBC番組「ニューズナイト」で、バーナム市長はもう長いことスターマー氏の後任を狙ってきた人なだけに、「正直言って、それにうんざりしている人たちも(党内に)いる」のだと述べた。
コイル議員、NECはバーナム氏の立候補を阻止するべきだと述べ、NECは「1人の人間のエゴに立ち向かうべきだ」と訴えた。
一方、同番組に出演した労働党のオリヴィア・ブレイク議員は、バーナム氏について「議会に復帰すれば、労働党の力は多いに増すはずだ(中略)彼はマンチェスターで素晴らしい結果を出してきた」と評価した。
「私たちはこれまで、なかなか国民に訴求できずにいた。彼にはそれができる」とも、ブレイク議員は述べた。
市長が下院補選に出られるよう辞職した議員は
メイカーフィールド選出の労働党議員ジョシュ・サイモンズ氏はBBCラジオ・マンチェスターに対し、この1週間で労働党は「内部崩壊しつつあった」と話した。
サイモンズ議員は14日、バーナム市長が補欠選挙で立候補できるよう、下院議員を辞任すると発表した。議員は妻とともに13日、バーナム市長と、自分が議員辞職することの是非について協議したとされる。
議員歴2年のサイモンズ氏は、2024年の総選挙で5399票差で当選。リフォームUKのロバート・ケニヨン候補が2位だった。
3児の父でもある32歳のサイモンズ氏は、この決断が「人生で最も難しい決断」で、「妻と話し合って決めた。家族として決断した」と話した。
「ここ数日話し合ってきた。正直に言って、信じられないほど急な展開だった」とも述べた。
さらに、「労働党は複数の派閥に分裂したまま党首選に向かおうとしていた。何かが変わるかもしれないという希望もエネルギーもなかった」とも話した。
一方、メイカーフィールドは「アンディ・バーナムが25年間住んできた場所」で、バーナム氏は「地元に戻ってくる」ことになると述べた。
「労働党は変わる必要があるし、政府全体も変わる必要がある」とも、サイモンズ氏は強調した。
サイモンズ議員は、グレーター・マンチェスタースターの町、ベリー生まれ。7日の地方選でリフォームUKが圧勝した地域でも、バーナム氏ならば勝てるはずだとしたうえで、「これは本当に、本当に、本当に厳しい戦いになる。それが現実だ」と強調した。
サイモンズ氏は、自分の辞職と引き換えに何か役職が約束されたわけではないとも話した。
「私が今度はマンチェスター市長選に出るなど、狂ったうわさが出回っているけれども、今ここではっきり言う。自分にそんなつもりはない」とサイモンズ氏は言い、「まずは、生後3週間の息子と時間を過ごしたい」と述べた。
「彼が生まれてから、そして今回の出来事も含めて、まさに激動の日々だった。妻と3人の子ども、生まれたばかりの息子と過ごす時間を大切にしたい」として、さらに、「そして何より、この補欠選挙での勝利に向けて尽力していくつもりだ」とサイモンズ氏は話した。











