トランプ氏の文句は「家族の口論」のようなもの NATO事務総長がBBCに説明

ダークスーツ姿の両者が横並びに座っている。ルッテ氏が自分の右に座るトランプ氏に体を寄せ、右手を前に出して広げている。席上にはNATOの小旗がある

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画像説明, NATO首脳会議で笑顔を見せるトランプ米大統領(左)とルッテNATO事務総長
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フランク・ガードナーBBC安全保障担当編集委員

西側諸国の防衛の要である北大西洋条約機構(NATO)は、かつてないほど強固だ――。これは、トルコの首都アンカラで開催されたNATO首脳会議の会場でBBCの取材に応じた、マルク・ルッテNATO事務総長の見解だ。

ドナルド・トランプ米大統領はこの会議の場で、イランとの戦争に参加しなかったNATOには大いに失望したと、怒りのこもった発言をした。にもかかわらず、ルッテ氏はこうした見方を示したのだった。(NATOは戦争前に相談を受けていなかった。最終的にはイギリスを含む複数の国が、イランのミサイル基地への攻撃のために米軍が自国の基地を使うことを認めた)。

私はルッテ氏に、NATO関係者や閣僚らの前向きで明るい発言と、米大統領の時に分裂を招くような発言との間には、明らかに隔たりがあると指摘した。

トランプ氏は、グリーンランドをアメリカの支配下に置くべきだとの見解を改めて示し、スペインを「ひどいパートナー」と呼んだ。しかし同時に、アンカラでの首脳会議では「団結」が見られ、「その場には途方もない愛」があったと強調した。

こうした状況をルッテ氏は、「少し家族に似ている。決して言い争わないが、突如として大げんかになる」と説明する。人当たりがよく雄弁な政治家である同氏は、2年前までオランダ首相を務めていた。

ルッテ氏は、「トランプ氏はNATOに全力で関わっている」とも言う。

本当か? なぜそこまで確信できるのか? そもそもこの大統領は以前、NATOからアメリカを脱退させることは「検討の余地もない」と述べていた。ここアンカラでも、アメリカはNATOへの「何兆」ドルもの投資からわずかな利益しか得ていないとする主張を繰り返した。

ルッテ氏は、「(トランプ氏のNATOへの深い関与を)100%確信している」と話す。「なぜなら(中略)アメリカは、現在の大統領も含め、というより現在の大統領こそ、例えば(イランに対するアメリカの作戦)エピック・フューリー(壮絶な怒り)は、ヨーロッパを戦力投射のプラットフォームとして利用することなしに、これほどの規模で実行するのは不可能だったと理解しているからだ」。

「停戦発効前の2月末から4月中旬までの6週間で、2国間基地協定に基づいて、ヨーロッパの基地から(米軍の)5000機が離陸した」

両氏と、欧州首脳ら10人ほどが集まって立っている。みなスーツ姿で笑顔を見せている

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画像説明, ルッテ氏(前左)は、トランプ氏(中)がNATOに深く関与していると「100%確信している」と話した

NATO加盟の北欧諸国は、ロシアの北極海沿岸のコラ半島に集積する、ロシアの核武装した潜水艦の大規模な基地群に不気味なほど近い。そのことが、アメリカにとって一種の早期警戒システムとして機能していると、ルッテ氏は指摘する。

「ロシアの核武装した潜水艦がアメリカの海岸に到達するのは避けたいはずだ」、「私たちはNATOとして集団でそれを阻止している。こうしたあらゆる理由から、32の国と地域が共にある。なぜなら、私たちは互いを必要としているからだ」。

今回のNATO首脳会議は、時折、横道にそれたものの、欧州各国政府が表明した防衛費増額の約束を具体的な行動に移すことが主な目的だった。

目指しているのは、欧州大陸の工業力を、ロシアの膨大な数のドローン、巡航ミサイル、弾道ミサイルなどの兵器がもたらす脅威に対抗できるレベルまで引き上げることだ。

イギリスなど一部の国は、2030年までに国内総生産(GDP)の3%を防衛費に充てるという道筋を示せていない。それでもルッテ氏は、自身の故郷ハーグで昨年開かれた前回の首脳会議以降に達成された防衛費の増加を明らかに喜んでいる。

「今日、確認したところ、カナダとヨーロッパで過去2年間に2500億(ドル)の追加支出があった。驚くべき数字だ。私たちは成果を上げている。今後は防衛産業の生産をさらに拡大し、ウクライナ支援を前進させ継続していく必要がある」と、ルッテ氏は私に言った。

では、もしロシアがどこかで、例えばエストニアで、一部で予測されているように2030年に、領土を奪おうとした場合、NATOはそれに対応する準備ができている、という自信はルッテ氏にあるのだろうか?

この質問に対しても、彼の自信は揺るぎなかった。おそらく何度も同じ質問をされてきたのだろう。

「もちろん準備はできている」と彼は答える。「今も準備はできているし、2030年にも、どんな時でも、準備は整っている。私たちがするのは防衛だ。他国への攻撃は決してしない。もし私たちを攻撃すれば、私たちに準備があることを、すべての敵対国が知っている。私たちは自分たちを守る」。

動画説明, NATOは本当に「団結」しているのか、ルッテ事務総長にBBC記者が聞く