アメリカが情報共有を制限し、ウクライナ人が命を落としている……ウクライナ国防省顧問がBBCに語る

黒いトップスに黒いパーカーを着たベスクレストノフ氏が、口を閉じ、カメラを見ている
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ダン・ジョンソン・ウクライナ特派員(キーウ)

ウクライナ国防省の顧問を務める軍事技術専門家、セルヒー・ベスクレストノフ氏は19日、ロシアの対ウクライナ攻撃に関する信頼できる警戒情報がアメリカから届かず、ウクライナ人が命を落としていると語った。

「フラッシュ」の通称で知られるセルヒー・ベスクレストノフ国防省顧問はBBCに対し、弾道ミサイルの飛来について市民へ警告する時間がなく、人命が失われていると述べた。「危険な状況だ。(中略)本当にかなりひどい。(中略)すでに死者が出ている」。

また、ウクライナに対する、衛星通信サービス「スターリンク」の利用制限も続いていると明らかにした。

一方でアメリカのホワイトハウスは、ウクライナとの情報共有に何も変更はないと説明している。

ドナルド・トランプ政権は今月、ロシア産ディーゼル燃料を輸入することでロシアと合意したと発表し、物議を醸している。この合意をめぐってウクライナとアメリカの関係がこれまでにないほど悪化する中、ウクライナは先週、アメリカからの情報共有が途絶えたと初めて報告した。

アメリカ政府は情報共有の制限を否定しているが、キーウでは大勢が、こうした問題は偶然起きたものではないと疑っている。

首都への弾道ミサイル攻撃、1回は事前警告なし

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は19日朝、「夜間に首都に対する弾道ミサイル攻撃が2回あったと、報告を受けた。1回目は事前の警告がなく、2回目は(警告から)避難するまでの時間はごくわずかだった」とソーシャルメディアに投稿した。

この数時間前に公開された米NBCのインタビューの中で、ゼレンスキー氏は、情報共有が3日間の中断を経て再開されたと述べていた。

ゼレンスキー氏は、「このことに大変感謝している。ロシアが弾道ミサイルを使用した際に、そのことをウクライナ側へ知らせる独自の情報能力を持っているのは、アメリカだけだ」としていた。

しかし、ベスクレストノフ顧問はBBCに対し、アメリカが提供する情報は今なお不完全でむらがあり、この問題についてアメリカからの明確な説明はないと話した。

「とても奇妙だ」とも、ベスクレストノフ氏は述べた。「攻撃される前に情報を受け取ることもあれば、そうでない時もある」。

続けて、「例えば、昨夜は情報を受け取ったが、(中略)攻撃のわずか1分前だった」と明らかにした。

一方で、アメリカとの他の協力関係は継続しているとした。「情報データは引き続き提供されている。問題なのは、空襲警報に関する部分だけだ」と、ベスクレストノフ氏は述べた。

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スターリンクの速度制限も継続

ベスクレストノフ顧問は、ウクライナが利用している米スペースX社の衛星通信サービス「スターリンク」と、その軍用版「スターシールド」に対するアクセス制限について、誰に責任があるのかアメリカは明確にしていないと話した。ウクライナはこの衛星通信を、ドローンやヘリコプター、軍事通信への接続に利用している。

スターシールドについては先週、時速約160キロを超えて移動する兵器について接続が制限され、ネットワークとの接続を失うことになった。

この影響でウクライナは、飛来するドローンを撃墜したり、ロシア占領地域に向けて中距離ドローン攻撃を仕掛ける能力が制限されている。

スターリンクを運営する米スペースXのイーロン・マスク氏は14日、同社が米国防総省向けに開発した軍事通信網「スターシールド」へのアクセスを最終的に管理しているのはアメリカ政府で、アクセス制限にアメリカ政府が関わっている可能性があると示唆した。トランプ氏は関与を否定している。

ベスクレストノフ顧問は、情報共有とスターリンク接続の両方が同時に制限されたことについて、「おそらく」ウクライナに圧力をかけるための意図的な動きだろうとの見方を示した。

「アメリカはおそらく、我々に『ロシアと対話し、交渉し、妥協点を見つけるべきだ』と言いたいのだろう」と、同氏はBBCに述べた。

代替通信システムを緊急に検討

ベスクレストノフ氏によると、ウクライナは独自のレーダー情報を保有しており、迫り来る攻撃について限定的ながら警告を出すことができる。それでも、スターリンクに代わる通信システムの導入を緊急に検討しているという。

「スターリンクに何らかの異変が起き始めていることは、理解している。次がどうなるのか、はっきりしない」

「今後いろいろな問題が起こり得るので、備えるべきだと理解している。防空だけでなく、部隊間や参謀間の通信、さらに民間人の利用も含め、スターリンクの代替手段を検討している。スターリンクをめぐって今後何が起きるのか予測できないので」と、ベスクレストノフ氏は述べた。

米国務長官、「情報共有の中断はない」

トランプ氏は19日、ウクライナとの情報共有について問われると、「我々はウクライナに多くのものを与えてきた。ウクライナは我々に何も与えていない」と答えた。

アメリカのマルコ・ルビオ国務長官は先に、ウクライナとの情報共有に「中断」は発生していないと述べた。

ルビオ氏は19日、記者団に対し、「(ゼレンスキー氏が)どこからそのような話を聞いたのか、なぜ報道機関にそのようなことを話しているのか分からない」と語った。

また、この件についてはコメントできないとしたうえで、「数日前の夜、ウクライナ側の早期警戒システムにソフトウェア上の問題があったことは承知している」と付け加えた。

BBCはスターリンク側にコメントを求めている。

ホワイトハウス関係者は、アメリカとウクライナの情報共有活動に変更はないと述べた。

この関係者は匿名を条件に、情報活動に関する問題について話した。トランプ氏が戦争の終結に重点を置いているとしたうえで、アメリカはほかのどの国よりも多くの支援をウクライナに提供してきたと、この人物は付け加えた。

ロシア軍によるウクライナへの攻撃は19日夜も続いた。ウクライナ当局によると、北東部ハルキウ州の公園内にあるカフェの近くにドローン攻撃があり、少なくとも6人が死亡した。死者には、ベビーカーに乗っていた幼児1人と11歳の少女が含まれる。

この攻撃で14人が負傷した。

ゼレンスキー氏は、「極めて残虐な行為」だと非難した。