英野党リフォームUKのファラージ党首、議員辞職し補選に出ると表明 政治資金問題の渦中

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リチャード・ウィーラー 政治記者
イギリスの野党リフォームUKを率いるナイジェル・ファラージ党首は7日、支持者から自分が受け取った資金や便宜をめぐり厳しく追及されている事態を受け、イングランド南東部クラクトン選出の下院議員をいったん辞任し、それに伴い行われる補欠選挙にあらためて出馬すると表明した。
ファラージ氏は、「私の行動の是非を判断するのはクラクトンの人たちであるべきだ」と述べ、自分は間違ったことは何もしていないと主張した。
しかし、保守党、労働党、リストア・ブリテン、自由民主党、緑の党の各政党は、このような形で補選が行われた場合には、対立候補を擁立しないと反応。主要政党が事実上、ファラージ氏の動きをボイコットする形になっている。
ファラージ氏は、下院議員になる前に富豪の支持者から500万ポンド(約10億1600万円)を贈与されていたのを申告しなかったとして、議員の行動・倫理規定を監督する議会基準委員会の調査を今年5月から受けている。
ファラージ氏についてはさらに、別の支持者からのさまざまな援助についても申告していなかったことが新たに報道されており、他の政党はそれらに関する調査も求めている。
リフォームUKは7日、ファラージ氏による演説の中継を報道機関に提供した。その中で同氏は、議会基準委の調査が「政治的な道具として利用されている」と主張した。自分はメディアに「裁かれたくない」と述べた上で、議員辞職することで自分の選挙区で補欠選挙を実施させ、あらためて出馬すると発表した。
ファラージ氏は、この補選は有権者が「既成勢力のすべてに」反抗する機会となるとも述べた。
しかし、与党・労働党は、クラクトン選挙区に候補者を擁立しないと表明。広報担当は、「この茶番」につきあうことでファラージ氏を「甘やかす」つもりはないと述べた。
最大野党・保守党のケミ・ベイドノック党首は、クラクトンでの補欠選挙はファラージ氏が「現状から人の注意をそらすため」に仕掛けたものだと批判した。
ベイドノック氏はさらに、議会基準委の調査結果を受けて行われるだろう「本当の補欠選挙」に、保守党は候補者を擁立するとも述べた。
ファラージ氏の議員辞職が正式に認められれば、500万ポンドの贈与に関する議会基準委の調査は中断される。ファラージ氏が補欠選挙で当選し、議員に復帰すれば、調査は再開される。
倫理調査の結果、議員資格停止の処分が下された場合、リコール(解職請求)につながる可能性がある。有権者登録資格のある人の10%がリコール請願書に署名すれば、議員を解任され、補欠選挙が実施されることになる。
巨額贈与や便宜供与
ファラージ氏は7日の演説で、リフォームUKが支持率を急速に伸ばしているため、「既成勢力」が自分たちを標的にして「卑劣な手段」に訴えていると主張した。
政治献金に関する規則の変更や、イングランドの30カ所で政府が地方議会選挙を延期したこと(リフォームUKの異議申し立てを受けてこれは撤回された)などを、ファラージ氏は「卑劣な手段」の例として挙げた。
長年の盟友からさまざまな便宜供与を受けていたことを伝えた5日付の英紙サンデー・タイムズ記事をめぐっても、自分の家族に対するマスコミの報道姿勢に不満を示し、週末は自分の将来について考えていたのだと話した。
同紙によると、ファラージ氏は2024年7月の総選挙を前に、イギリスの資産家で政治活動家のジョージ・コトレル元受刑者から支援を受けていたという。イギリスの貴族の家系出身のコトレル氏は2017年、アメリカにおいて電信詐欺罪で有罪を認め、禁錮8カ月の実刑判決を受けていた。
サンデー・タイムズによると、コトレル氏は2024年の総選挙に向けて、ファラージ氏の警備スタッフや、ソーシャルメディアのコンテンツ制作スタッフへの報酬を提供した。自分がバッキンガム宮殿の近くに借りていた物件を、ファラージ氏に使わせるなどの便宜も図ったという。
ファラージ氏の財政状況については今年初め、巨額贈与が未申告だったと報道され、注目されるようになった。
この時は、ファラージ氏が下院議員になる前の2024年4月に、タイ拠点のイギリス人で仮想通貨投資家のクリストファー・ハーボーン氏から500万ポンドの贈与を受けていたことが明らかになった
ハーボーン氏はリフォームUKにとって特に重要な資金提供者の1人で、昨年初めから同党に1500万ポンドを寄付している。
ファラージ氏は、自分への寄付金500万ポンドは「何の条件も付けない前提」で提供されたもので、将来的に自分の身の安全を守るために必要な資金だと説明している。
同氏の側近たちは、コトレル氏から受け取ったとされる「現物支給」の、つまり金銭ではない便宜供与を申告しなかった理由についても、同様の主張を繰り返している。
「はっきりさせておきたい。私は何も間違ったことはしていない。法律には一切違反していない。公金の不正使用もしていない」とファラージ氏は7日の演説で強調した。
議会規則によると、新しく選出された下院議員は、選挙前の12カ月間に受け取った、議会活動または政治活動に関わる贈答品や便宜供与(宿泊施設を含む)を申告しなくてはならない。
「純粋に個人的」な贈与や便宜については、免除規定がある。
「自己満足プロジェクト」
ファラージ氏は2024年7月の総選挙でクラクトン選挙区で勝利し、保守党候補に8405票差をつけて当選した。それまでは7回にわたり下院議員を目指して出馬したが、毎回落選していた。
ファラージ氏の議員辞職は、議員資格の喪失を君主が認める政府手続きが完了するまで、正式には成立しない。
野党・自由民主党のエド・デイヴィー党首は、「議会基準委の調査が完了するまで、(政府が)彼の辞任を阻止すべきだ」と主張した。
「もしこの補欠選挙が実施されるようなら我々は、全ての政党に対し参加しないよう、ファラージの自己満足プロジェクトに協力しないよう求める」とも、デイヴィー氏は述べた。
野党リストア・ブリテンのルーパート・ロウ党首は、ファラージ氏の辞任によって行われる補欠選挙には党の候補を擁立しないが、議会基準委の調査の結果として補欠選挙が実施される場合には、候補を立てると述べた。
野党・緑の党も候補を擁立しないと方針を示した。「地元住民のためではなく、ナイジェル・ファラージの個人的な政治的野望を満たすために仕組まれたと思われる補欠選挙について、その正当化に協力するつもりは全くない」と述べた。











