米アップル、オープンAIと従業員を提訴 企業秘密を盗んだと主張

アップルストアの前に掲げられたロゴマーク

画像提供, Reuters

Published
この記事は約 4 分で読めます

カリ・ヘイズ テクノロジー担当記者

米アップルは10日、AI開発企業の米オープンAIを提訴した。オープンAIがアップルの元従業員を雇用することで貴重な内部情報を入手したと主張している。オープンAIは、人気の対話型AI「ChatGPT(チャットGPT)」の開発元。

カリフォルニア州の連邦裁判所に提出された訴状によると、アップルはオープンAIとその従業員2人、ならびに米ioプロダクツを提訴。 アップルの製品開発と関連業務に関する企業秘密を「繰り返し盗用」したと主張した。ioプロダクツはiPhoneなどのデザイン責任者を務めたジョナサン・アイヴ氏が設立したスタートアップ企業で、オープンAIが2025年5月に買収した。

アップルの訴えによると、アップルに長年勤めた後に退職してオープンAIに入社した少なくとも2人が、アップルの社内情報を自分宛てにメールで送信するなどして、この手口に関与していたという。

オープンAIのドリュー・プサテリ広報担当はBBCに対し、「我々は他社の企業秘密には一切関心がない」と述べた。

プサテリ氏は、オープンAIは現在アップルによる訴えの内容を精査中とも述べた。さらに自社は、「世界中の人々に力を与える革新的なテクノロジーの開発に注力している」と話した。

アップルの広報担当者はBBCに対し、今回の訴訟は「重要な証拠」に基づくものだと述べた。

銀色のドアの前に立つスーツ姿のアルトマン氏

画像提供, Reuters

画像説明, オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(今年5月撮影)

アップルによるこの訴訟は、同社とオープンAIの関係にとって、大きな転換点となる。

今年9月にアップルの最高経営責任者(CEO)を退任予定のティム・クック氏は、利用者に提供するAI機能を増やそうと、オープンAIのChatGPTをアップル製品に搭載した。

しかしアップルは今年に入ると、自社製品のAI機能の多くの基盤を、米グーグルの生成AIモデル「ジェミニ」に移行させた。

一方、クックCEOが4月に退任を発表すると、オープンAIのサム・アルトマンCEOは、クック氏は「伝説的人物」だと公に称賛し、「彼が成し遂げたすべてのことに深く感謝している」と付け加えた。

しかし、アップルは今回、オープンAIが「アップルの機密情報を抽出する戦略」を実行していると非難した。

アップルはオープンAIとioプロダクツを訴えたほか、アップルで8年間勤務した上級電気エンジニアのチャン・リウ氏と、同社で24年間iPhoneとアップル・ウォッチのデザイン担当副社長を務めたタン・ユー・タン氏も訴えた。タン氏は現在、オープンAIの最高ハードウェア責任者を務めている。

アップルは、自社の元従業員と、彼らがアクセスできた「機密性の高いプロジェクト、信頼できるパートナー関係、独自の製造技術、未発表製品」を通じて、オープンAIはアップルの製品計画や事業運営の詳細を把握できたと主張している。

アップルは、オープンAIがアップルの現従業員を対象に採用面接を行う際、従業員からさらに情報を引き出そうとしているとも主張している。

オープンAIの面接官は、採用候補者に対して面接中に「実機部品を小道具として持参し、実演して説明するよう」指示したとされている。

アップルは、訴えた全当事者が「共謀して企業体として行動し、アップルの機密情報を悪用して、オープンAIの消費者向けハードウェア市場への参入を促進した」と非難した。

オープンAIは今月、同社初のハードウェア製品となる、AIツールで使用するキーボードを発売する予定。株式公開も計画している。

アップルは訴訟の中で、オープンAIの「不正行為が常態化し、経営陣が手本とされているため」、同社の「黎明(れいめい)期のハードウェア事業は、不正に取得した企業秘密への違法な依存によって根底から腐敗し、極めて不安定な基盤の上に成り立っている」と主張した。

さらに、今年2月に懸念事項についてオープンAIと話し合おうとしたものの、最終的には無視されたとという。

アップルは、オープンAIが機密情報とされるものを入手または使用することを直ちに禁止するよう裁判所に求め、金額は明示されていないものの損害賠償も求めている。