イギリスとヨーロッパで珍しい日食、スペインなどでは皆既日食

草地で皆既日食を観測する人々を後ろから撮った写真。日食の光で逆光になっている

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画像説明, スペイン近郊のアルコス・デ・ラス・サリナスでは皆既日食が観測された(12日)
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BBC気候変動・科学チーム

イギリスとヨーロッパで12日、過去30年で最も劇的な日食が観測された。数百万人が、一世一代の出来事を目撃したとみられている。

イギリスは大勢が部分日食を堪能した。日食は現地時間午後7時(日本時間13日午前3時)過ぎにピークを迎え、ほとんどの人が、太陽の90%以上が月によって覆われる様子を目にした。

グリーンランド、アイスランド、スペインの一部地域では、完全な暗闇と皆既日食の壮大な光景を体験した。

各地の観測地点に集まった大勢は、驚きの声や歓声で反応した。天文学愛好家たちは、宇宙がいかに「素晴らしい」かを改めて実感させられたと語った。

動画説明, スペインやアイスランドで皆既日食、各地で目撃した人々は

皆既日食の経路は、ロシアのシベリア最北端、人混みや望遠鏡から遠く離れた場所から始まった。

その後すぐに北極海を回り込み始め、夕方早くにアイスランドに到達した後に南下し、イギリスからも観測できるようになった。

部分日食は、スコットランド北部では午後6時ごろ、イングランド南海岸では午後6時20分直前に始まった。 雲一つない空に浮かぶ月が、太陽を少しずつ削り取っていくかのように見えた。

黒い空に黄色い太陽が浮かんでいる。右下隅から小さな三日月形の影が太陽を侵食している

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画像説明, 12日夕方には各地で月が太陽を覆い始めた(12日、オランダ・アステン)

イングランド中部と南部、そしてウェールズの大部分ではこの日、空に雲がほとんどなかった。そのため、月が1時間かけてゆっくりと太陽を横切る様子を、何にさえぎられることもなく眺められた。

イングランド北部、スコットランド、北アイルランドは曇りがちだったが、それでも国内各地の有名な観光名所には多くの人が集まった。

日食観測用のめがねを入手できた人もいたが、イベント直前には目の保護具は品薄状態となり、眼鏡店、金物店、パン屋などではどこも売り切れ状態だった。

しかし、それは人々を思いとどまらせることはなかった。ざるやシリアルの箱、紙切れなど思い思いのものを手に、大勢が安全に部分日食を垣間見ることができた。

草の生い茂る丘の上に、大勢の人々が集まっている。背景にはギリシャ様式の柱が見える。最前列にいるグループは、日食観測用の眼鏡をかけている

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画像説明, エディンバラのカールトン・ヒルには大勢の人が集まったが、曇り空に悩まされた(12日)

日食は、月が太陽と地球の間を通過し、太陽光の一部または全部をさえぎり、地球に影を落とす現象。

時間がたつにつれて、月はゆっくりと、しかし確実に太陽を覆い隠し、次第次第に明るさが変化していった。

イギリスから見た場合、太陽と月と地球は一直線上には並んでいなかった。

その結果、部分日食となり、イギリスの大部分で月が太陽の約90%を覆い隠した。これは1999年以来、イギリスで最も劇的な日食となった。コーンウォールでは、その割合は95%にまで達した。

スペインの一部地域では、さらに魔法のような体験ができた。 現地時間12日午後8時30分頃(日本時間13日午前3時30分ごろ)に、太陽と月と地球が完全に一直線に並び、皆既日食が発生した。

左上から右下にかけて、月が太陽を徐々に覆い隠していく様子を捉えたタイムラプス画像。一番下は皆既日食になっている

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画像説明, スペインのアリハから見た、1時間にわたる皆既日食の過程を示す合成画像(12日)

チリの科学者ヤスミン・カトリチェオ氏は、このイベントのためにスペイン北西部のラ・コルーニャまで数千キロ移動した。

「皆既日食の時は、みんな歓声を上げ、目の前の光景に興奮を分かち合っていた。あの時の気持ちは言葉では言い表せない」と、カトリチェオ氏は話した。

「宇宙は素晴らしい」

地球上のどこかで、およそ18カ月ごとに皆既日食が起こる。

しかし、特定の場所では非常にまれで、およそ400年に一度しか見ることができない。

スペインの皆既日食帯沿いに集まった人々は、月の後ろで太陽が赤く輝くという、この珍しい現象を目の当たりにした。

暗闇から出る光は、太陽のコロナ、つまり数千マイルも宇宙空間に噴出した超高温のガスの噴流だった。

注意深く観察した人なら、プロミネンス(紅炎)と呼ばれる、太陽の激しい磁場に沿ってピンク色のガスが突出する現象が見られたかもしれない。

月にさえぎられた太陽が、オレンジ色の光に包まれた黒い円として黒い空に浮かんでいる。太陽の表面には、ガスが噴き出た小さなピンク色の輪が見える

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画像説明, スペインのベルゴスでは、皆既日食の際にプロミネンスが観測された(12日)

月はその後、それまで隠していた太陽を露わにし始めた。

皆既日食は2分足らずしか続かなかったが、多くの人にとって忘れられない出来事となった。

私たちが皆既日食を体験できること自体が、驚くべき宇宙論的な偶然によるものだ。

太陽は地球から1億5000万キロメートル離れており、月よりも400倍も遠い。しかし、月の直径は太陽の直径の400分の1なので、空では太陽と月は全く同じ大きさに見える。

月がもう少し小さかったり、軌道が地球からもう少し遠かったりしたら、皆既日食は決して起こらない。

オレンジ色の空に太陽が中央にあり、月が表面を覆っているため、左側に小さなかけらが欠けている。望遠鏡を持った人々がグループで立っているが、影になっている。

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画像説明, 50年ぶりの最高の部分日食となる可能性のあるこの日食を見ようと、ヨーロッパ各地に大勢の人々が集まった(ドイツ・ヘルテン、12日)

2026年から2028年にかけて、皆既日食の「黄金時代」が訪れる。今後数年で3回も起こる壮大な皆既日食を見るために、世界中を旅する人もいるだろう。

しかし、これらの皆既日食はどれもイギリスでは観測できない。次にイギリスで良い形で観測できる日食は2027年の部分日食で、一部地域で約45%が覆われる程度だ。

日食の終わりかけで左上が欠けている黄色い太陽の前を飛行機が通り過ぎている

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イギリスで今日よりも被覆率の高い日食が見られるのは、数十年後だという。

2081年には、太陽の最大99%が覆われる日食が見られるという。

そして、イギリスで次に皆既日食が見られるのは2090年だ。

(追加取材:ジョージ・バーク)